永吉昴
なあ百合子!オレ、考えたんだけどさ。事務所に私物を持ち寄ったら楽しいんじゃないかな!?
七尾百合子
ええと……比較的最近、別の芸能事務所でそんな会話が交わされた気もしますが……
永吉昴
でさ。真センパイのクマがずっと置いてあるじゃん。あれ、可愛いよな。
七尾百合子
ええ。間の抜けた眉毛とかとか、逆ハート型の鼻面とか。
永吉昴
……それに対抗して、オレも可愛がってる「マスコット」を持ってきたけど……
永吉昴
その、なんだ。オレのキャラに合わないかな、そんなことするの。
七尾百合子
そんなことないですよ!女の子は誰だって、可愛いものが大好きなんですから。
永吉昴
そ、そうだよな!オレがそういうの好きでも、いいんだよな!
永吉昴
……本当のこと言うと、家に置いておくと『もうそんな物処分しろ!』、とか言われてさ。
永吉昴
確かにちょっと痛んできたかもだけど、捨てるのが可哀想で……
七尾百合子
分かります。私もボロボロの本を置いておいて、家族に処分しろって言われます。
七尾百合子
ところで、そのマスコットってどんな子ですか?肝試しで使ったクマさんですか?
永吉昴
違うぜ。あれは仕事の記念だから、トロフィーと一緒に飾ってるし。
永吉昴
……ほら、このカバンで持ってきたんだ!
七尾百合子
細長いですね……蛇さん?ドラゴン?意表をついて、鰻とか。
永吉昴
いま開けるぜ……ほら、可愛いだろ!
七尾百合子
……
七尾百合子
……ええと、金属バット、ですか?
永吉昴
百合子、野球知らないんだな。違うって。
永吉昴
これは「マスコットバット」。並の金属バットとは別モンだぜ。
七尾百合子
自分の無知は謝りますが、これ、可愛いですか?
永吉昴
見ろよ!このメタリックな輝き!丸い頭とお尻!スベスベで撫で心地最高!ちょっと抱いてみなよ。
七尾百合子
お、重いです……バットってこんなズッシリしてるんですか……
永吉昴
それが「マスコット」の特徴!スマートだけどふくよかなんだ。
七尾百合子
「ふくよか」って……多分そういう風に拵えてあるだけの話ですよね。
永吉昴
ノリ悪いなあ……よし、「マスコット」の哀しいお話を聞かせてやるよ。それなら気に入るだろ。
永吉昴
「マスコット」には、何人も兄弟がいるんだけどな。可哀想なんだ。
永吉昴
試合という『舞踏会』には、「マスコット」だけが出られないんだよ……どうだ、哀しいだろ。
七尾百合子
まあ、これを打席に持ち込む酔狂な人はいないですよね。
永吉昴
ってわけで、真センパイのクマの隣に、オレの「マスコット」を飾るぜ!撫でたりしてくれよな。
七尾百合子
……ごめんなさい。なにが昴さんの琴線に触れてるのか、共感できないです……
永吉昴
……
永吉昴
【バットコミュニケーション】
(台詞数: 33)