北沢志保
百合子さん、どうしたんですか?鞄の中ひっくり返して…
七尾百合子
あ、志保ちゃん。実は今日の収録で使う台本、家に忘れてきちゃったみたいなんだ…。どうしよう…
矢吹可奈
そんなときは私にお任せっ!矢吹家に代々伝わる歌のおまじないで、ど～んと解決しちゃいますよ!
矢吹可奈
台本さ～ん、出ておいで～♪こっちの志保ちゃんは甘いぞ～♪
北沢志保
…可奈、そんな能天気に歌ってる場合じゃ
七尾百合子
ああっ、本当に鞄の底から台本が出てきた!
北沢志保
え?
矢吹可奈
えっへん、どんなもんだい!これぞ矢吹家に代々伝わる神秘的おまじない!
北沢志保
どうしてそこで可奈が威張るのよ。百合子さんがちょっとボケボケだっただけじゃない。
七尾百合子
うぐぅ…返す言葉もありません…
矢吹可奈
あ～っ、疑ってるね!?なら志保ちゃんの困りごとも、私が歌で解決してあげちゃおうじゃない!
北沢志保
そうね、じゃあ…今日は蒸し暑いから涼しくなりたいわ。できる?
矢吹可奈
それくらい、可奈のおまじないソングパワーでお茶の子さいさいだよ!
矢吹可奈
涼しくなぁれ～風吹き荒れろ～♪壊れたエアコン動き出せ～♪
七尾百合子
ああっ!調子が悪くて全く動かなかったエアコンが…稼働し始めた!?
北沢志保
…ぐ、偶然よ、偶然。
矢吹可奈
志保ちゃ～ん、まだ信じてくれないの～?
七尾百合子
可奈ちゃん、可奈ちゃん。私、おはぎが食べたいなぁ…なんて。
矢吹可奈
どんと来いだよ、百合子ちゃん!
矢吹可奈
あんこの国から僕らのために～♪来たぞ～我らの～おはき～♪
七尾百合子
…あれ?机の上にお皿が…、あんなのあったっけ?
七尾百合子
ああっ、おはぎだ!おはぎが三つ…まるで最初からそこにあったみたいに!
北沢志保
まさか、そんなオカルトありえない…!ありえないはずなのに…っ
矢吹可奈
へっへ～ん!どうだ参ったか、志保ちゃん!
北沢志保
くっ…。いえ、ここまで続いたのなら、もう偶然と言う方が…
矢吹可奈
お母さんも昔使ってたおまじないなんだもん!偶然なんかじゃないよ!
北沢志保
…そうみたいね。…ねえ、可奈。たとえば…
北沢志保
…誰か、会いたい人がいたとして…そんな願いも叶うのかしら?
七尾百合子
…会いたい人って、もしかして…
北沢志保
…コク
矢吹可奈
…任せて、志保ちゃん!私のおまじないに不可能はないんだよ!
矢吹可奈
帰っておいで～お父さ～ん♪あったかハウスが待っている～♪志保ちゃんだって待っている～♪
北沢志保
………。
七尾百合子
………!
北沢志保
………、何も起きないわね。
矢吹可奈
ま、まあまあ!そんなに焦らないで、おはぎでも食べて待ってようよ!
七尾百合子
そうだね。それじゃあいただきます……ジャリジャリ
七尾百合子
って、うぇっ!?こ、これ、おはぎじゃなくて泥だんごだよ!?
七尾百合子
ああっ、よく見たらこの台本も…今日の収録分のじゃない!前に録り終わった分の台本だ!
北沢志保
…あと、この部屋さっきより暑くなってないですか?
七尾百合子
…エアコンから熱風が出て来てるね。…可奈ちゃん、これはどういうことかな…?
矢吹可奈
…うぅ、ごめん。実はこのおまじない、上手に歌えてないと変な風になっちゃうことがあって…
七尾百合子
そ、そうなんだ…。繊細なおまじないなんだね…
北沢志保
都合が良すぎるとは思ったのよ。…全く、人騒がせね。
矢吹可奈
ご、ごめんね、志保ちゃん…。私の歌がもっと上手だったら…
北沢志保
いいわよ、どうせおまじないなんだし。それより…気持ちが嬉しかったから。
矢吹可奈
志保ちゃあん…!
七尾百合子
…それに、失敗したって決めつけるのもまだ早いよね。
北沢志保
え?
七尾百合子
携帯鳴ってるよ、志保ちゃん。
(台詞数: 50)