矢吹可奈
いや…『金箔を洗い流す』のは不可能だったはずだよ…
七尾百合子
ど、どうして…!?
矢吹可奈
未来ちゃんの死亡時刻は午前0時半頃、つまり『夜時間』…
矢吹可奈
『夜時間は水道やシャワーから水が出ない』…規則で決められていた事だよね?
七尾百合子
あっ…
北沢志保
トイレの水は使えたはずだから、金箔を洗い流す事自体は不可能じゃないかもしれないわね。
北沢志保
キッチンで未来を気絶させ、トイレまで引きずっていって中の水で手を洗い…
北沢志保
それからシャワールームで未来を殺す…それまでに彼女が起きない保証があれば、だけど。
七尾百合子
そ、そもそも!私達はアイドルを目指してるのにトイレの水を使うだなんて…
矢吹可奈
静香「あまり考えたくはないわね…」
北沢志保
人を殺した時点で、アイドルとかそれ以前の問題だと思うけど。
七尾百合子
瑞希「朝7時以降、つまり水が出る時間帯にまた部屋に来て、金箔を洗い流した可能性は?」
北沢志保
否定はしませんが、限りなく低いと思います。部屋に出入りする所を見られた時点でお終いですから
矢吹可奈
紗代子「リスクが高すぎる…か。確かにね」
七尾百合子
でも、模擬刀の持ち手の部分は金箔が剥がれてたんだよね?それはどう説明するの?
矢吹可奈
え、えーと…
北沢志保
誰かが触った…金箔の剥がれ方から見ても、それしか考えられないわね。
七尾百合子
じゃあ、やっぱり犯人が模擬刀で未来ちゃんを…!
北沢志保
模擬刀は触った。…けれど、それが『犯行に使われていない』としたら?
矢吹可奈
触ったのに、犯行には使われていない…?
北沢志保
部屋に置いてあった模擬刀をわざわざ触って、あたかも何かに使われたかのように移動させた…
北沢志保
それを行ったのが犯人なら、目的は1つしかない。…矢吹さん、ここまで言えばわかるわね?
矢吹可奈
…『偽装工作』、って事?
北沢志保
そう、犯人はあの模擬刀が犯行に使われたのだと私達に誤認させようとした…
北沢志保
まあ、中途半端な上にバレバレだけど。よほど焦っていたのかもしれないわね。
七尾百合子
瑞希「つまり、これは計画的な殺人ではなく、突発的に起こった事故だった…?」
矢吹可奈
紗代子「経緯はどうあれ、相手を殺めてしまった時点で立派な犯罪よ」
七尾百合子
杏奈「結局、犯人は模擬刀を触った…んだよね…?」
七尾百合子
杏奈「包丁の持ち手…綺麗なままだから……未来を刺した後に偽装した…って、事?」
矢吹可奈
麗花「でもでも、それだと犯人はずっと手に金箔が付いたままだった事になっちゃうよ～?」
北沢志保
それでもよかったのかもしれないけど、犯人は極力証拠を残さないように気を配っていたはずよ。
北沢志保
下手な偽装工作までしていたのだから。きっと、"ある物"を使って手に金箔が付くのを防いだはず
七尾百合子
星梨花「あっ、わかりました!タオルの事ですよね?」
北沢志保
残念ながら、キッチンのタオルは全部綺麗に仕舞われていたわ。使われた形跡はなかった。
北沢志保
矢吹さんは知ってるはずよ。あなたは厨房も調査していたものね。
矢吹可奈
(厨房に置いてある物で、金箔が手に付くのを防ぐのに使われた物…)
矢吹可奈
『ゴム手袋』…!厨房の備品リストに載ってたよ!
七尾百合子
美奈子「そっか、備品の数が減ってたのは犯人が持ち出したから…!」
北沢志保
実際に持ち出したのは未来のはずよ。備品は美奈子さんが毎日チェックしている…そうですよね?
七尾百合子
美奈子「う、うん。昨日の夜も片付けの後にチェックしたけど、備品の数は減ってなかったかな…」
北沢志保
タイミング的には未来しかありえない。彼女を殺害した後に、犯人がゴム手袋を使ったのよ。
矢吹可奈
…はれっ?でも、あのキッチンにはゴム手袋どころか調理道具なんて1つも…
七尾百合子
静香「…ねぇ、さっきから黙って聞いてたけど、なんだか話が脱線してない?」
七尾百合子
静香「未来が料理をしていた事はわかったんだから、次に話し合うべきなのは…」
七尾百合子
静香「犯人が未来の部屋にどうやって入り込んだか…その方法についてじゃないの?」
矢吹可奈
そ、そうだね。ごめん…
北沢志保
このみ「すっかり忘れちゃってたわ。つい話し合いに熱が…」
七尾百合子
紗代子「じゃああらためて、『未来ちゃんの部屋に入った方法』について議論しましょうか」
北沢志保
………
(台詞数: 49)