七尾百合子
奈緒さん!唐突ですけど心象風景を現実に投影出来たら素敵だと思いませんか!?
横山奈緒
ほんまに唐突やなぁ……また何かの小説に影響されたんか?
七尾百合子
ええ、まあそうなんですけど……心象風景を投影する能力ってどれも描写が魅力的なんですよね。
横山奈緒
へー、そんな物なんかぁ……せやったら百合子の心象風景を投影したらどんな感じになるん?
七尾百合子
そうですね……無限の荒野に歯車がいっぱい浮いててそこから剣ならなんでも取り出せるとか!
横山奈緒
あのなぁ……それは私かて元ネタわかるで……百合子の人生に意味はいらんのか?
七尾百合子
いや、まぁ人生の意味は探してる途中ですけど……それじゃあ次は……
七尾百合子
無限の荒野に私と相手だけが墨絵の輪郭で存在する世界……
七尾百合子
吹き出る血さえ墨色に描かれる世界には私が殺した人が浮かび上がっては消えて行くんです!
横山奈緒
またサツバツとした空間やなぁ……百合子はそんなに人の死に立ち会った事があるんか?
七尾百合子
いえ、3歳のころにひいおばあちゃんが亡くなったのを見た事があるらしいですけど……
横山奈緒
そりゃそうやんな……百合子が人を殺した事あったらビックリやし……
七尾百合子
じゃあ次は無限の砂漠に私と生死を共にした無数の英霊達が……
横山奈緒
百合子は何の英雄やねん!
七尾百合子
うっ…じゃあDJの父を背負った私は無機質な工場街の音と自分が見た死者の織りなす墨絵空間に…
横山奈緒
……百合子はオトンを背負って動けるんかいな?あとオトンはほんまにDJなんか?
七尾百合子
……多分背負ったきり一歩も動けないですね。あと父は普通の会社員です。
横山奈緒
あのなぁ……百合子の心象風景を聞いてるんやから百合子の体験した事で考えや?
七尾百合子
言われればそうですね……そうなると私の心象風景はやっぱり図書館でしょうね。
横山奈緒
うんうん、百合子の心象風景やったらそうなるやろうなぁ……
七尾百合子
そして無限の図書館には私一人、他者の存在を拒み、存在するのは本に描かれた通りの幻のみ……
横山奈緒
まーた寂しい風景やなぁ!劇場の仲間やファンはどうしたんや?どうでもええんか?
七尾百合子
いや、全然そんな事は無くてとても大切な人達ですけど……
横山奈緒
せやったらもうちょっと楽しい空間にしようや!例えば煌めくステージの上で……
七尾百合子
観客は無く、共演者も無く、ただ一人歌い、踊り続ける。誰にも届かない歌を……
横山奈緒
いやいやいやいや……それじゃあこの前行ったプールの中で……
七尾百合子
流れる水しぶきも楽しむ人も全て他人、私はただ誰にも干渉されずな一人佇む……
横山奈緒
だーかーらーっ!なんでそんなに寂しい空間ばっかやねん!百合子はそんな寂しい子や無いやろ?
七尾百合子
だって、何の問題も無い健全な心象風景だとドラマにならないじゃ無いですか……
横山奈緒
……いや、確かに友達と普通に談笑してる空間で戦闘は映えへんかもな……
(台詞数: 30)