中谷育
『次の日の図書館は、いつもとどこか違っていました。』
中谷育
『怪我をした朋花さんは、左手にギブスをはめられ、』
中谷育
『お医者さんから、あまり働きすぎないように言われていました。』
天空橋朋花
働き過ぎるな、と言われましても、落ち着きませんね~。
天空橋朋花
……今日は、ライオンさんはいらっしゃらないのかしら。
中谷育
『朋花さんはつぶやきます。今日はライオンの姿が見えないのです。』
中谷育
『15時になると、朋花さんは絵本の部屋まで行ってみました。』
中谷育
『お姉さんが、子供達にお話を読み上げ始めたところです。』
中谷育
『けれども、ライオンの姿はありませんでした。』
中谷育
『図書館に来た人達は、本を探したり、コンピューターで調べたりしながら、』
中谷育
『いつものように、あの大きなふさふさの顔があるのだと思いました。』
中谷育
百合子さん、今日はライオンさんは来ないの?
七尾百合子
そ、そうだね…。どうしちゃったんだろうね……。
中谷育
そっか…。残念だな……。
中谷育
『とうとう、この日はライオンはやってきませんでした。』
中谷育
百合子さん、さようなら!明日、ライオンさん来るといいな~。
七尾百合子
そうね。きっと来るよ…。
中谷育
『しかし、次の日もライオンは来ませんでした。そして、その次の日も…。』
天空橋朋花
『………』
天空橋朋花
『ある日の夕方、仕事を終えた百合子さんは、帰る前に朋花さんの部屋に寄りました。』
七尾百合子
朋花館長、なにかご用件があれば、お手伝いしましょうか?
天空橋朋花
『と、仕事に専念出来ない朋花さんに、何か手伝えることはないか聞きました。』
天空橋朋花
ありがとう。でも、結構ですよ~。
天空橋朋花
『朋花さんは窓の外を見ながら、とても静かに言いました。』
天空橋朋花
『いくら図書館でも、そこまで静かにしなくていいのに……。』
天空橋朋花
『それに、手伝って欲しいことがないはずありません。』
天空橋朋花
『朋花さんの机の上には、整理していない書類が散乱しているのですから……。』
七尾百合子
わかりました…。それでは、失礼します。
天空橋朋花
『百合子さんは、困った顔をして出て行きました。』
七尾百合子
(手伝う事は何もないと言われてもな……。)
七尾百合子
(いや、あるはず。私に出来る、お手伝いが!)
天空橋朋花
『百合子さんは、何かを決心したかのように、図書館を出て行きました。』
七尾百合子
(シーン6に続く)
(台詞数: 33)