天空橋朋花
『次の日、ライオンはまたやってきました。』
天空橋朋花
ライオンさん、おはようございます~。
天空橋朋花
随分早いですね~。おはなしの時間は、15時からですよ~。
天空橋朋花
『しかしライオンは動こうとせず、じっと朋花さんを見つめています。』
天空橋朋花
それでは、なにかお手伝いをしていただきましょう♪
天空橋朋花
『朋花さんは、それだけ言うとライオンは動きだし、』
天空橋朋花
ライオン(パタパタ…)
天空橋朋花
『おはなしの時間が来るまで、百科事典の棚のホコリを尻尾で上手に掃ってもらいました。』
天空橋朋花
お掃除が上手なライオンさんですね~。助かりますよ~♪
天空橋朋花
『…その次の日も、ライオンは早くからやってきました。』
天空橋朋花
『朋花さんは、本を返すのが遅れている人に出す手紙に封をするために、』
天空橋朋花
ライオン(ペロッ…)
天空橋朋花
『ライオンは封筒を舐めて、ノリをつけるお手伝いをしました。』
天空橋朋花
うふふ。退屈なこの作業も、ライオンさんと一緒ですと、とても楽しいですね~♪
中谷育
『………』
中谷育
『やがてライオンは言われなくても、色々なお手伝いをするようになりました。』
中谷育
ライオンさん、背中に乗らせて!
中谷育
『小さな子供達を背中に乗せて、高いところに手が届くようにしてあげました。』
中谷育
『あとは、おはなしの時間になるまで、絵本の部屋でゆったりと寝そべっていました。』
中谷育
ライオンさんのからだって、大きくてあったか~い♪
中谷育
『大きな身体のライオンは、子供達のクッション代わりと もたれたりと大人気です。』
中谷育
『図書館に来る人達は、はじめのうちはライオンが少し怖かったのですが、』
中谷育
『だんだんに慣れてきました。図書館にライオンがいるというのは、なかなか良いものです。』
中谷育
『ライオンの大きな足は、歩く時ちっとも音を立てないし、』
中谷育
『おはなしの時間には、子供達がゆったりとライオンに寄りかかっていられます。』
中谷育
『それに、ライオンはもう図書館の中で咆えることはありませんでした。』
天空橋朋花
女性「役に立つライオンだねぇ」
中谷育
『今では、誰もがライオンの働きを認め、愛されるようになっていきました。』
中谷育
『ライオンが通りかかると、優しく頭を撫でて、』
七尾百合子
男性「図書館は、ライオンがいなければやっていけないよね。」
中谷育
『と、言うのでした。』
七尾百合子
………
中谷育
『それを後ろから聞いてしまった図書委員の百合子さんは、面白くありません。』
七尾百合子
……なんでですか。
七尾百合子
図書館は、ライオンが来る前からちゃんとやっていたのに……。
七尾百合子
ライオンがいなくたって!
七尾百合子
大体、ライオンに決まり事がちゃんと理解していると、決め付けていいのでしょうか!
七尾百合子
そもそも、ライオンが図書館にいるなんて、聞いたことないし。
七尾百合子
みんな、この異様な光景に慣れるなんて、どうかしてます……。
中谷育
『百合子さんの不満は、誰にもぶつけることができず、やきもきする日々を送るのでした。』
七尾百合子
『シーン4に続く』
(台詞数: 41)