七尾百合子
俺は七尾の事が嫌いだった
七尾百合子
小学生の頃から同じクラス、休み時間になればいつも本ばっかり読んで周りとは違う世界に入り込む
七尾百合子
女子達が話しかけても聞こえているんだか、いないんだか
七尾百合子
試しに一度読んでる本を取り上げてやったら
七尾百合子
試しに一度読んでる本を取り上げてやったら半泣きになってこっちを見て来た、いい気味だったな
七尾百合子
中学に上がりクラスは別々になったけど同じ図書委員だったから偶々当番が被る事もあった
七尾百合子
委員の仕事を終えたらコッチの事なんて目もくれず受付に座ってソッコー本を読み始める、んだよ
七尾百合子
ある日、七尾がアイドルを目指して養成所に通ってるって話を聞いた
七尾百合子
ばっかじゃねぇの、校内マラソン大会でヘバってた奴がアイドルなんて出来る訳がねぇ
七尾百合子
どうせ、どこもスベって帰って来るに決まってる。世の中そんな甘くねぇんだよ
七尾百合子
七尾がアイドルとしてデビューした。少しずつ学校を休む様になった。進級出来んのかよ
七尾百合子
七尾の顔がプリントされたCDのポスターが駅前のショップに貼られてるのを見た
七尾百合子
何が「地元の星!」だよ、そんな悪態をつきながら休みの日隣町で七尾のシングルを買った。
七尾百合子
最近、七尾は学校に来なくなった。先公が言うには補習を受けてるから大丈夫なんだそうだ。
七尾百合子
久しぶりに登校して来た七尾はなんだか前より明るくなった様な気がする。営業スマイルって奴か?
七尾百合子
下校時、校門前に若いスーツの男が停めた車に七尾が乗り込むのを見た。迎えに来たのか
七尾百合子
「なんだよ...あいつ...あんな顔も出来んのかよ」俺が見た事も無い満面の笑顔
七尾百合子
あぁ.....
七尾百合子
あぁ.....今やっと分かった...
七尾百合子
あぁ.....今やっと分かった...俺は
七尾百合子
あぁ.....今やっと分かった...俺は七尾の事が....
七尾百合子
あぁ.....今やっと分かった...俺は七尾の事が....これが失恋って奴なのか
七尾百合子
風が吹いて目にゴミが入った。目をこすっているウチに七尾を乗せた車がゆっくりと左に曲がった。
(台詞数: 23)