シンアル 2
BGM
プリムラ
脚本家
Կիշիրա
投稿日時
2017-04-14 19:18:21

脚本家コメント
前作は153ですー

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高山紗代子
日が、沈もうとしていました。
高山紗代子
こんな日にも、こんな日でも、いつもと同じように夜が訪れるようです。
高山紗代子
これから、世界中の人が最後の夜を迎えます。
高山紗代子
ほとんどの人にとっては、この古い時代の最後。明日から新しい時代が始まるからです。
高山紗代子
そして、あの子にとっては……
高山紗代子
……
高山紗代子
本当の意味で、最後の夜です。
高山紗代子
私が、そう選択しました。
高山紗代子
私が、私の意思で、
高山紗代子
この死んでしまった世界と、あの子を天秤にかけ、
高山紗代子
そういう風に、選択しました。
高山紗代子
私はもうすぐ青黒くなる空に向かって尋ねました。
高山紗代子
私の選択は、正義足り得たのでしょうか。
高山紗代子
この正義とは、誰のための正義なのでしょうか。
高山紗代子
正義とは何なのでしょうか。
高山紗代子
……
高山紗代子
……何度破壊を願っても、再生を願っても、起こってしまったものは決して還らない。
高山紗代子
でも、私は早く明日になって欲しかったのです。
高山紗代子
明日になれば、彼女は完全に失われてしまうから。
高山紗代子
運命を俯瞰して見れば決まっていることも、それを生きている命にとってはまだ未確定なこと。
高山紗代子
彼女がこう決まってからずっと、運命を無視してしまいたくなります。
高山紗代子
何も変わらないと知っていても、更に多くの犠牲を払うことになると分かっていても。
高山紗代子
私の持てるだけの、あらゆる力を使って、彼女だけを救ってしまいたくなる。
高山紗代子
……何度破壊を願っても、それを実行できないのは。
高山紗代子
彼女と同じくらい、彼女以外の全てが、私にとって大切だからです。
高山紗代子
どれだけのものを俯瞰して見ることができても、どれだけの可能性を知っていても。
高山紗代子
選べる道は、一つしかないのです。そして、こんな道を選ばざるを得なくしたのも、
高山紗代子
全て私です。
高山紗代子
それでも、この運命を変えようと、抗おうとする人達を見てきました。
高山紗代子
皆が少しずつ、何かを変えようとしています。でも、私にはそれが出来ない。
高山紗代子
空から聞こえる声の言葉が少しずつ分かるようになって、完全に理解してしまったのです。
高山紗代子
他の星達が話すこの星の物語の中で、私のことがわかりません。
高山紗代子
私はその登場人物ではないのです。何をしても、何も変えることが出来ないのです。
高山紗代子
だから私は、静香ちゃんと会ったとき、全てを託すしかなかった。
高山紗代子
それだけが、私の出来ることだからです。
高山紗代子
……ただ、私は分からなくなってきました。私はどこに進むべきなのでしょう。
高山紗代子
私の望みは、いったい何なのでしょう。
高山紗代子
……勿論、それに答えられる声はありませんでした。誰も私の話をしていないからです。
高山紗代子
諦めて不貞寝しようかと思った、その時でした。
高山紗代子
流れ星……?なんでだろう。そんな話は聞いてないのに。
高山紗代子
……
高山紗代子
……………
高山紗代子
……………………!!
高山紗代子
そっか。
高山紗代子
彼女が、彼女自身がそう願うなら。
高山紗代子
彼女が、まだ自分の信じる希望を失っていないなら。
高山紗代子
彼女が、まだ最後でないと信じるなら。
高山紗代子
……先ほど、私は自分で言ったことを思い出ました。
高山紗代子
私はこの運命の中で、一つの道を選んで。
高山紗代子
しっかりと、生きているのです。

(台詞数: 50)