高山紗代子
どう、分かった?
中谷育
えーっと……よく分かんない。
高山紗代子
ちょっと待ってね。えーっと……
高山紗代子
ちょっと待ってね。えーっと……これでよし!どうぞ、育ちゃん。
中谷育
ありがとう!
中谷育
……ごめんなさい、やっぱり分かんないや。
中谷育
紗代子さん、早見表をもう一回見せて!……えーっと、この星が……これ?
高山紗代子
育ちゃん、無理に形を追おうとしないで、おっきくてきれいな星をつないでみて。
中谷育
うん……なんだろう、砂どけいみたいになったよ?
高山紗代子
それがオリオン座の身体の部分だね。あとは……
高山紗代子
こんな感じかな。早見表と星空を見比べてみて。
中谷育
わっ!ほんとうだ!書いてある通りに並んでる!
中谷育
……これが、オリオン座かぁ。
高山紗代子
……桃子ちゃんの演劇だっけ?
中谷育
うん!桃子ちゃんがさそり座の役をやって、オリオン座の役の人を倒すんだって!
中谷育
紗代子さんは、オリオン座がどんな星座か知ってる?
高山紗代子
話は色々あるんだけど、一番有名なのが、桃子ちゃんのお芝居のさそり座との逸話かな。
高山紗代子
地上の動物を全部捕まえてやるって言っちゃったオリオンを神様がさそりで懲らしめちゃうの。
高山紗代子
そのご褒美として、さそりは星座になることが出来たんだよ。
中谷育
……
中谷育
オリオンさんは、どうして星座になれたの?悪い人なんだよね?
高山紗代子
……どうかしたの?
中谷育
桃子ちゃんにね、オリオン座ってどんな星座なの、って聞いたら怖い顔して、うつむいちゃって……
中谷育
桃子ちゃん、オリオン座役の人と一緒に仕事をしたことあるって言ってたの。
中谷育
きっと昔、オリオンさんにひどいことをされたんだと思うの!わたし、桃子ちゃんを助けたいの!
高山紗代子
……
高山紗代子
……育ちゃん、もう一度、望遠鏡を覗いてみて。
中谷育
え?……うん
高山紗代子
オリオン座の真ん中にある三つの星、それを右にずっと伸ばした先にあるのがおうし座。
高山紗代子
逆に左側へずっと伸ばした先にある、綺麗な星を持つのがおおいぬ座。
高山紗代子
他にも、うさぎ座やこいぬ座、はと座なんかがオリオン座の周りにはあるの。
中谷育
でも、それがどうしたの?
高山紗代子
オリオンはなんで殺されたんだっけ?
中谷育
それは、地上の動物を全部つかまえてやるって言ったから……って、あれ?
高山紗代子
そう。それなのに神様はたくさんの動物をオリオンの周りに置いているの。
高山紗代子
ここからは、私の想像なんだけど、きっとオリオンは改心したんだと思うの。
中谷育
かいしん?
高山紗代子
いい人になったってこと。反省して、もう捕まえたりしないって誓ったんじゃないかな。
高山紗代子
それを知った神様は、わざとオリオンの周りに動物を置いたんだと思うの。
高山紗代子
オリオンに冬の夜空の動物たちを見守らせるためにね。
中谷育
そっかぁ……
高山紗代子
育ちゃん、私は桃子ちゃんとオリオン座役の人の間に何があったか知らない。
高山紗代子
昔、桃子ちゃんと喧嘩したのかもしれない。もしかしたら、本当に悪い人だったのかもしれない。
高山紗代子
でも、今も悪い人とは限らないんじゃないかな。
高山紗代子
空に浮かぶオリオン座みたいに……ね?
中谷育
紗代子さん……
高山紗代子
でも、まずは桃子ちゃんに理由を聞かないとね。
高山紗代子
それに、育ちゃんが心配しているって聞いたら、桃子ちゃん、喜ぶと思うよ。
中谷育
うん!……ねぇ、紗代子さん。空の上のオリオンさんは、わたしたちも見守ってくれるかなぁ。
高山紗代子
大丈夫だよ、だって冬の空にはいつもオリオン座が輝いているんだから。
(台詞数: 50)