木下ひなた
ちょっとばっかし、土を変えておいたから、もっと元気になると思うよぉ!
高山紗代子
やっぱり植物のことはひなたちゃんに聞くのが一番だね。公園についてきてもらってよかったな。
木下ひなた
て、照れるべさ。お、お天道様の光もしっかり浴びせねばね。
木下ひなた
にしても、涼しくなったねぇ
高山紗代子
ホントだね。この前までの暑さがウソみたい。……あれ?向こうでやっているのって
木下ひなた
あ、お嫁さんだべさ。結婚式の前撮りかなぁ?白いドレスが綺麗だねぇ。
高山紗代子
お嫁さんといえば、ひなたちゃん覚えてる?
木下ひなた
もしかして、南国リゾートのことかい?
高山紗代子
そうそう、あの時、私たちの前で結婚式を挙げた人たちがいたでしょ?
高山紗代子
その人たちから昨日手紙が届いたんだ。
木下ひなた
うわぁ、懐かしいねぇ。あの時は紗代子さん、大活躍だったもんねぇ!
高山紗代子
そんな……大活躍だなんて……
木下ひなた
知らない人のためにパーティ会場の端から端まで指輪を探すなんて、紗代子さんしかできないよぉ!
木下ひなた
しかも、ブーケの中に隠されてた指輪を見つけたんだよぉ。大活躍に決まってるべさ!
高山紗代子
ふふ、ありがとう。ひなたちゃん。
木下ひなた
でも、泥棒さんが捕まらなかったのは、ちょっぴし残念だったねぇ
高山紗代子
泥棒……ね。
木下ひなた
ん?紗代子さん、どうかしたかい?
高山紗代子
……実はね、指輪を隠したのは泥棒じゃなかったんだ。
木下ひなた
ええ?でも、新婦さんは変な男の人に盗まれたって言ってたよぉ!?
高山紗代子
うん。でも、ひなたちゃん、泥棒がわざわざ新婦さんのブーケに指輪を隠すかな?
木下ひなた
あ、そう言われてみっと……。
木下ひなた
あれ?じゃあ、指輪を隠したのって……
高山紗代子
うん。新婦さん、盗まれたって騒ぎ始めた時にちょっとだけホッとした顔をしてたんだ。
高山紗代子
だけど、すぐに顔を青くして……。そこで気づいたんだ、この人は自分で指輪を隠してるって。
木下ひなた
じゃあ、紗代子さんは最初からブーケに指輪があるって分かってたんかい?
高山紗代子
新婦さんの近くに、他に隠せそうな場所なんてなかったからね。
木下ひなた
したっけ、なしてすぐにブーケを……あっ!
高山紗代子
そう、すぐにブーケから指輪を探し出したら、新婦さんが隠したってバレバレでしょ?
高山紗代子
だから、私、会場中を一生懸命探したの。無いって分かっている場所も徹底的に!
高山紗代子
そうすれば、他の人は「ああ、本当に盗まれたんだな」って思ってくれるかなって。
木下ひなた
さ、紗代子さん、やっぱしすごいなぁ。
木下ひなた
あたしなんか新婦さんを慰めるので精いっぱいだったよぉ……
木下ひなた
それで、手紙にはなんて書いてあったんだい?
高山紗代子
えーっとね、『ひなたさん、紗代子さん、その節はありがとうございました。』あと、
高山紗代子
『来年には家族三人でシアターにライブを見に行きます』だって。
木下ひなた
えへへ、三人かぁ!楽しみだねぇ!コスモスさんもそう思うよねぇ?
木下ひなた
あ!あたしったら水を持ってきてないね。ごめんね、コスモスさん、ちょっくら取ってくるべさ
高山紗代子
……
高山紗代子
(ひなたちゃん、私が指輪の場所を知っていながら探し回ったのには、もう一つ理由があるの)
高山紗代子
(それはね、新婦さんがまだ迷っていたからなんだ)
高山紗代子
(結婚を止めるか、それとも式を続けて結婚するか)
高山紗代子
(私は……続けてほしかった。あんな素敵な式場で上げる予定だったんだもの)
高山紗代子
(でも、私には新婦さんの背中を押す言葉が見つけられなかった……)
高山紗代子
(だけど、ひなたちゃん、あなたは新婦さんの背中を結婚への道に押してくれた。いとも簡単に…)
高山紗代子
(だからね、あの日、本当にすごかったのは、ひなたちゃん、あなたなんだよ?)
木下ひなた
待たせたねぇ。あ、紗代子さん、見て見て!コスモスさんが!
高山紗代子
ホントだ、今、少し伸びたね。
木下ひなた
いつかコスモスさんにもおっきな花が咲くといいねぇ!
(台詞数: 49)