福田のり子
人の脳を利用すると言う事は、勿論その脳の持ち主にも負担を強いることになる。
福田のり子
こんな機械を動かすのに耐えられるのかな?いや無理でしょ。
福田のり子
いや耐える耐えないに関わらず、そんな事が許されるわけない。
福田のり子
やっぱり、こんな技術を使うわけにはいかないし、これを政府に知られるわけにはいかない。
福田のり子
「じゃあ、やっぱり何も分からなかったって事にするしか……」
福田のり子
そんな事を考えながら、この無意味な階層をうろうろしていた、そんな時だった。
高山紗代子
「あの、そこに誰かいるんですか?」
福田のり子
ま、まずい!油断してた!ここにも人が来ることがあるんだ!とりあえず誤魔化さないと!
福田のり子
「キューキュー!」
高山紗代子
「あ、なんだハリネズミか」
福田のり子
よし!なんとかなった!誰か知らないけどポップな人で助かった!
高山紗代子
「あ、ハリネズミさんなら尚の事聞きたいことがあるんだけど」
福田のり子
しまった!ハリネズミに用事のある人だった!何たる不運!こうなりゃプランBだ!
高山紗代子
「あ、あれ?人だ。すみません、ここでハリネズミ見ませんでした?」
福田のり子
「あ、ハリネズミさんならついさっに桜前線と共に北上して行きましたよ」
高山紗代子
「ああ、そうなんですか。それならあなたにお聞きしたいんですけど」
福田のり子
ええ!?人でも良い用事なんだ!
高山紗代子
「宇宙から降りてきた資源に宇宙たい焼きとかは無いんでしょうか」
福田のり子
「知るか!というかハリネズミなら尚の事知らんわ!」
高山紗代子
「ご、ごめんなさい。流石に虫が良すぎましたね。それで、あなたは?」
福田のり子
あ、やばい。でもここは正直に話さないと逆に怪しまれるよね。
福田のり子
「えっと、ここの整備とかをしてる、福田のり子って言います」
高山紗代子
「のり子……つまりメスのノリネズミ……」
福田のり子
「で、あなたはこんなところで何を?」
高山紗代子
「え?あ、はい。私はここに住んでるんですけど、散歩がてらに降りられるとこまで徒歩で……」
福田のり子
「へえ、それは物好きな……」
福田のり子
……ってあれ?ここに住んでる?しかもここより上に……?
福田のり子
「あーーーー!!!!」
高山紗代子
「ええ!?このタイミングで何故絶叫!?」
福田のり子
いつも遠目にしか見ないから分からんかったけど、この人は噂の!
福田のり子
「女神様!!」
高山紗代子
「いえ、ですから科学者さん、私は別に女神ではありませんってば」
福田のり子
「いや女神様は女神様でしょ」
福田のり子
で、この壁の中に閉じ込められそうになってる人。その割には、なんだか普通で……
福田のり子
とても、この世界の主とは思えなかった。
高山紗代子
「あ、そういえば科学者さん。お聞きしたい事があるんですが」
福田のり子
「だから!科学者じゃなくて技術者!何回やらせるのさ!このくだり!」
高山紗代子
「私初見なんですけど……では、こうしましょう。のり子さんが技術者でない代わりに」
高山紗代子
「私も神でも主でも無いということで」
福田のり子
「はぁ……じゃあなんて呼べば?」
高山紗代子
「……名前があります」
福田のり子
……なんか意外だったけど、まあ、そりゃそうか。人だし名前くらいあるよね。
高山紗代子
「紗代子と呼んでください」
福田のり子
「……紗代子ちゃん、聞きたいことって何?」
高山紗代子
「はい、私の友人にお伝えして欲しい事があるんです」
福田のり子
「友達いたんだ!」
福田のり子
アタシでも全然いないのに!あ、ちょっと待てよ?これって色々聞けるチャンスなんじゃ!
福田のり子
「良いけど条件があります!紗代子ちゃんの事を色々教えて欲しい!」
高山紗代子
「……色々とは?」
福田のり子
「最初から!!!」
(台詞数: 50)