高山紗代子
どこまで話しましたっけ。
高山紗代子
ああ、そうそう。神様が大規模な災害を起こす事に決めた。というところでした。
高山紗代子
その日までは幾年。私は人々には告げず、静かに人々の最期を待つつもりでした。
高山紗代子
この時、何故か自分の最期は考えていませんでした。いつの間にか、死は遠い物になったようです。
高山紗代子
ちなみに、神様は件の災害に集中してるのか、他の物が起こる予定はありませんでした。
高山紗代子
さて、その子と逢ったのはそんな時でした。
高山紗代子
「ええと、業務用のたい焼き機どこに置いてたっけ?」
真壁瑞希
「もし、そこのお嬢さん。油はいらんかね」
高山紗代子
「え!私のところまで昇ってこられるなんて……。どなたですか?」
真壁瑞希
「VIP用のIDをもらった物で……思った通り、一定階以上のセキュリティはユルユルですね」
真壁瑞希
「ですが、これはまた簡単にみつけました。あんな会議抜け出して正解です」
真壁瑞希
「申し遅れました。油売りの少女の正体は真壁瑞希。しがない天才サイエンティストです」
高山紗代子
なんでこの人回りながら喋るんだろう。
高山紗代子
「そうでしたか……私は……」
真壁瑞希
「女神さま、でしょう?写真の通りのゴキゲンな容姿です」
高山紗代子
「……私は神ではありませんよ。あれの言葉を伝えているだけです」
真壁瑞希
「本当に神様と友人のように話すんですね。噂通りです。」
高山紗代子
「……不愉快でしたか?」
真壁瑞希
「いえいえ、そんな事より女神さま。手っ取り早くあなたに直接お話ししますね。」
真壁瑞希
「ご存知の通り、今世界は不規則的に頻発する災害に困っている現状です」
真壁瑞希
「しかし、女神さまの予言のおかげで生き永らえている現状です」
高山紗代子
「ですから予言では無くて……」
真壁瑞希
「何故女神さまに分かって私たちに分からないのか……もし全員が女神さまになれたら……」
真壁瑞希
「情報がお金持ちに一人占めされる心配もないんですよ」
高山紗代子
やはり情報は独占されていたようで、私は件の決意が正しかったとホッとしました。
真壁瑞希
「私たちはそういう研究をしています。そして……まあ結論だけ言うと」
真壁瑞希
「ほぼ100%、災害の予測に成功しました。ああ決めどころなのに後ろ向き」
高山紗代子
正直驚きましたが、何度も言うように私は科学が分からないので、納得は出来ました。
真壁瑞希
「しかも、女神さまの予言より詳細に、です。」
高山紗代子
なるほど、私も結構詳しく伝えてるつもりですが、神様がまずアバウトですからね。納得。
真壁瑞希
「試作段階なのでまだ公にはしていません。そんな先日、大問題が起こりました」
真壁瑞希
「なんとメガミズキが、数年後に過去例を見ない大災害が巻き起こると言ってきました。」
高山紗代子
本当に本当のようです。
真壁瑞希
「あ、ちなみにメガミズキは予測装置の事で、由来は女神さまと瑞希です」
真壁瑞希
「私たちは驚きましたが、それ以上に困惑したのは、その災害の予言が無いということでした」
真壁瑞希
「この件に、私たちは仮説を立てました。」
真壁瑞希
「仮説その一、大災害過ぎて政府がなんかいろいろ諦めて隠匿してるパターン」
真壁瑞希
「仮説その二、女神さまが秘密にしてるパターン」
高山紗代子
……この人頭良いですね。
真壁瑞希
「それを確かめるために頑張って政府とお話し会にこぎつけられました」
真壁瑞希
「仮説一は、ただいま友達が確かめてくれています。そして、私に与えられた使命は……」
真壁瑞希
「仮説二を確かめるために、会議中に必死こいて抜け出してあなたに接触すること」
高山紗代子
正直予想外でした。以前話しましたが、神様は人のする事は分からないのです。
高山紗代子
神様が知らないことを私が知るはずありません。
高山紗代子
「ちなみに、私がもし皆に隠し事をしていたと言ったらどうしますか?」
真壁瑞希
「……それもう認めてませんか?」
高山紗代子
「すみません、こういう駆け引きは苦手で」
真壁瑞希
「事実を隠していた理由を聞きたいです。科学者としてではなく、人として」
高山紗代子
人として、と言う言葉がとても不思議でした。私は人ではないとでも言いたげでした。
高山紗代子
もしかして本当に私は、人ではないのでしょうか。
(台詞数: 50)