百瀬莉緒
……皇帝陛下、街の視察は終わられましたか?そろそろ、街の者達による晩餐の用意が整いますが。
馬場このみ
ええ、漁や交易を妨げる嵐が消えたから、この地方はもう大丈夫。休息ののち、次の地へ向かうわ。
百瀬莉緒
……このみ姉さんは平気なの?強敵と闘った消耗とか。……スービエに共感してる様子だったし。
馬場このみ
……かつての英雄とか、敵って以前に、彼らも「普通の感覚を持つ」人間じゃないかって思ってね。
馬場このみ
まあ、今後の旅の方針を皆んなに話す時、私の考えも話すから……私は大丈夫よ、莉緒ちゃん。
百瀬莉緒
……そこまで言い切るなら、敢えて突っ込んだ話をしないけど。ひとりで考え込み過ぎちゃダメよ。
馬場このみ
……みんなお待たせ。それじゃ、料理やお酒で示された街の人々の感謝の意を、受けましょう。
高山紗代子
……晩餐の前に恐縮ですが、陛下。少しご相談したいことが。
百瀬莉緒
なによ紗代子ちゃん?その話は明日じゃ駄目?一番いい状態で料理を頂くべきじゃない!?
百瀬莉緒
《のり子》そうだよ〜、あたしもお腹ペコペコだし、もう待てないって!
高山紗代子
実は、宮廷の大臣達からの定期報告で気になる点が。帝国の重大な資金源、宝石鉱山のことです。
高山紗代子
この数ヶ月めっきり産出量が減り、収益が上がらなくなっていると。……何か異変があったのでは?
百瀬莉緒
良い鉱脈に当たらなくて、一時的に宝石が採れないのはよくあることよ。気にし過ぎだって。
高山紗代子
そうでしょうか……因果関係は不明ですが、休職あるいは退職する鉱夫もいるそうです……。
馬場このみ
そうね……。
馬場このみ
……内政は大臣達に任せていいと思う。旅を共にしてる皆んなと同じように、彼等を信頼してるわ。
馬場このみ
それよりも今は七英雄のことに当たるわ。お酒が入る前に、今後の旅の指針を話しておくわ。
馬場このみ
《百合子》……お酒を嗜まれるのは、このみ様と莉緒さんだけだと思いますが……
馬場このみ
混ぜっ返さないの、百合子ちゃん。……次の目的地は、ある意味百合子ちゃんに期待してるのよ。
馬場このみ
このトバの街を後にして、次はヤウダ地方に赴くわ……チカパ山を越え、エミリーブに会いに行く。
馬場このみ
今まで私達は七英雄を、時が経ち過ぎて、凶暴性や名誉欲が肥大化した悪だと考えていたけど、
馬場このみ
友を思うような人間性が残ってるなら、人間と相互不干渉とか交渉できる可能性も有る。
馬場このみ
だからこそ……かつて七英雄に何が有ったのかとかを知るのが必要。その事を聞きに行くの。
高山紗代子
……領土のとある地点で異変が起こっているかもしれないのに、ですか?
高山紗代子
それこそ、エミリーブの元に使者を送り、書状による回答を待っても構わない案件では?
馬場このみ
チカパ山は怪物の巣窟。使者を危険に晒せない。それに私自身が行かねば、話してくれないかも。
高山紗代子
「いいと思う」とか、「可能性」とか、「かも」とか。そんな事を根拠に指針を立てるんですか!?
高山紗代子
臣民は、苦しい時助けに来る皇帝一行を期待しています!今現在苦しむ者の元に行くべきです!
百瀬莉緒
はい、そこまで。紗代子ちゃん、どうどう。
百瀬莉緒
陛下が全ての人民を救うのは不可能、理想論よ。世界中に怪物がいるのを忘れないで。
百瀬莉緒
それに、判断基準が無いから情報収集するのも妥当よ。諌言のつもりでしょうけど、少し不遜よ。
高山紗代子
……申し訳ありません。陛下のご意向に従います。以後慎みます。
馬場このみ
気にしなくてもいいから。紗代子ちゃんみたいに、考えを示してくれるのは大切な事だわ。
百瀬莉緒
紗代子ちゃんは、理想が高くて堅物なんだから……恋のひとつでも知ったら、変わるかもね〜。
高山紗代子
恋なんて……私はホーリーオーダー(聖騎士)なんです。帝国に全てを捧げてるんです。
馬場このみ
……紗代子ちゃん。七英雄と何らかの決着がついて、闘いが無くなったら……その後、どうする。
高山紗代子
……いえ、そんな事、想像したことも無いです。……私、何に取り組めばいいんでしょうか。
百瀬莉緒
そ・こ・は!いい相手見つけて恋をします、って答えてほしかったな〜、お姉さん。
馬場このみ
《のり子》はーい!あたしは闘いが終わったら、除隊して海を渡ります!幻の『投げ技』を探しに!
馬場このみ
《百合子》本を読めたら満足ですけど……吟遊詩人様みたいに、お話を求めて旅もしたい、かも。
馬場このみ
そうね、戦乱の世では叶えられない夢も有る。戦乱の世では夢を見つけられない娘もいる。
馬場このみ
「夢」を取り戻すのも、私達が闘う理由のひとつかもね。……そろそろ、無礼講としましょ。
高山紗代子
……
百瀬莉緒
【宴が終わって、宿への帰り道】
百瀬莉緒
……このみ姉さん、飲み過ぎよ。ぐでんぐでんになる姿なんて、私見たことなかったわ。
馬場このみ
ううっ、気持ち悪い……傭兵団時代の飲み会では、莉緒ちゃんが潰れて私が世話してたもんね。
馬場このみ
……闘いが終わったら、帝国軍の除隊希望は許可しないといけないし、みんな故郷に帰るのよね。
馬場このみ
でも、『皇帝』はそうはいかないんだろうな……皆んなが夢を叶えるのを、見てるだけかな……
百瀬莉緒
……そんなの、その時考えればいいじゃない。なにか解決法があるわよ、多分……ね。
百瀬莉緒
それに……皇帝陛下であろうとなかろうと、私はこのみ姉さんと一緒にいるつもりよ。
(台詞数: 50)