篠宮可憐
「ふぅ……リセットされた気分。」
篠宮可憐
あ、こ、こんばんわ。篠宮可憐です。
篠宮可憐
今日は私の誕生日なので、唐突ですが自分のことを書きたいと思います。
篠宮可憐
あ、つまらなさそうでしたら、読むのを止めてもらっていいんですよ。
篠宮可憐
……もう少し読んでいただけるのですか?……嬉しいです。
篠宮可憐
私は毎朝、食事を済ませたら、お風呂に入ってから家を出ます。
篠宮可憐
あの、朝から贅沢なことをしているなんて思わないで欲しいです。思っても口にしないで……
篠宮可憐
体の汗の匂いとか、見てしまった嫌な夢とか、昨日後悔したことを、洗い流してスタートしたくて。
篠宮可憐
お風呂上がりのフレグランスとともに、もう日課になっています。
篠宮可憐
……今日はいつもと違うフレグランスを付けました。……特別な日、なので。
篠宮可憐
「お、おはようございます。
篠宮可憐
「お、おはようございます。……早く来過ぎてしまいました。うぅ。」
篠宮可憐
朝からの予定が無いのに、早々と事務所に来てしまいました。浮かれていたみたいです。
篠宮可憐
これでは、おめでとうの言葉やプレゼントを催促しているみたいかも……落ち込みました。
大神環
「おはよう!可憐お姉ちゃん!そんで、行ってきます!」
篠宮可憐
「環ちゃん?今日は朝から、近所でロケじゃなかったの?」
大神環
「うん。でも、雨の『匂い』がしたんだ。おふとんとりこむのに、ちょっと帰る。」
篠宮可憐
「ディレクターさん達には言ってあるのね。転んだりしないで帰ってね。」
大神環
「わかった。あ、そうそう。可憐お姉ちゃん、お誕生日おめでとう!」
篠宮可憐
……環ちゃんは、パタパタ帰っていきました。
篠宮可憐
雨の『匂い』。私には分からないものです。自然の中で育った環ちゃんは感じるみたい。
篠宮可憐
『匂い』って不思議なんです。色も形も重みも無いから、感じなければ存在を知れない。
篠宮可憐
『匂い』も私も、自分独りでは存在を示せないのかも……さみしい気がします。
篠宮可憐
……どこからか花の匂いがしてきました。これは確か……
高山紗代子
「誕生……日……おめで……とう……、可……憐!今そっちに……行く…わ。」
篠宮可憐
「ひぃっ!!鉢植えが喋った!しかも歩いてる!」
高山紗代子
「何……バカな……こと言ってる…の?私よ。……ちょっと道を……開けてね。」
篠宮可憐
「すみません紗代子さん。いま、台車を持って来ますから。」
篠宮可憐
化粧品CMのスポンサーさんから、特大のプルメリアが届きました。
高山紗代子
「立派ねえ。それにいい香り。……あ、可憐にピッタリね。」
篠宮可憐
「紗代子さん、私、こんな堂々としてないです。」
高山紗代子
「花言葉がね、『内気な乙女』に『恵まれた人』だって。」
高山紗代子
「可憐はいい素質持っているんだから、もっと胸を張るべきよ。ちなみに『熱心』も花言葉ね。」
篠宮可憐
添えられたカードを読んでの、紗代子さんのアドリブエールでした。
篠宮可憐
……
篠宮可憐
私が、いま一番嬉しい匂いが、近づいて来た気がします。
篠宮可憐
「おお、おはようございます!プロデューサーさん。」
篠宮可憐
『おはよう可憐。今日はいつもと印象が違うな。……フレグランスを変えたのか?』
篠宮可憐
……
篠宮可憐
今年の誕生日は、この一言だけで、素晴らしいものに決まりました。
(台詞数: 40)