二階堂千鶴
さあ、プレイボールですわ!相手はあの黒井デパート…絶対に負けられませんわ!
二階堂千鶴
亜利沙。来てもらっておいて何ですが、貴女の出番はありませんわよ!
二階堂千鶴
私のチームは最強なのですから!おーっほっほっほ!!
松田亜利沙
おお!とっても頼もしいです!やっちゃってください!
松田亜利沙
(これが1回表の話。そして今は9回裏、こちらの攻撃ですが……。)
二階堂千鶴
ホームランを打ってください。
松田亜利沙
話が違う!!ありさの出番はないんじゃ!?
二階堂千鶴
仕方ないでしょう?計画が狂いましたもの…本当ならもう大差がついているはずなのに。
松田亜利沙
狂いすぎですよ!だいたい、お互いに0点なんですから、延長戦を頑張ってください!
二階堂千鶴
商店街の方を舐めないでくださいまし!延長戦を戦う体力があるわけないでしょう!?
松田亜利沙
舐めますよ!!
二階堂千鶴
あ、それと…この試合、負けた方が店をたたむことになっていますので、そのつもりで。
松田亜利沙
何となくわかってましたよ!!みなさん、目から殺気を飛ばしてますし!!
二階堂千鶴
ほら。2アウトになったら行きますわよ。早く準備なさい。
松田亜利沙
うう…どうしてこんなことに…。
松田亜利沙
…………ついにバッターボックスに来てしまいました。相手のピッチャーは強そうです。
松田亜利沙
もう、こうなったら、なるようになるしかありません。……行きます!
松田亜利沙
『ストライク!!(ブンッ)』『ストライク!!(ブンッ)』
松田亜利沙
……全然打てましぇん。
二階堂千鶴
ボールを!ボールをもっと見るんですのよ!
松田亜利沙
無茶をおっしゃる!!
二階堂千鶴
しかし…まさか黒井デパートにあんな投手がいたなんて…。
二階堂千鶴
かつて社会人野球界を沸かせた凄腕イケメン投手…。
二階堂千鶴
付いたあだ名は、「マウンドのアイドル」。まさか黒井に入社していたなんて。
松田亜利沙
…………アイドル?
松田亜利沙
(待ってください。これって、もしかして……。)
松田亜利沙
(球場というライブハウス、観客、そしてピッチャーマウンドというステージ…。)
松田亜利沙
(そこではアイドルちゃんが、投球という名のパフォーマンスをしている…。)
松田亜利沙
ひょっとして、これって…!!
松田亜利沙
『(カン!!)ファール!』
二階堂千鶴
あ、あの子!当てましたわ!
松田亜利沙
『(カン!!)ファール!』
二階堂千鶴
また!!もしかして…まぐれじゃないんですの!?
松田亜利沙
間違いないです。この感覚、このリズム…コールアンドレスポンスの呼吸!
松田亜利沙
ボールを打つのとコールを打つのは同じなんですね!!
二階堂千鶴
多分違う気がしますが…打てるなら何でもいいですわ!
松田亜利沙
『(カン!!)ファール!』
松田亜利沙
違う…もっと…もっとイメージを高めて…最大級のパフォーマンスに最大級のコールを…
松田亜利沙
最高のライブを!!
松田亜利沙
『カッキーーーーーーン!!!』
二階堂千鶴
あ……ああああああ!!!亜利沙!!亜利沙ああああ!!!
松田亜利沙
………………あれ?ありさ、今何を…?
松田亜利沙
(気づけば、ボールはスタンドに吸い込まれていました。)
松田亜利沙
(その後、千鶴さんに促されるまま、フラフラと各塁を歩いて回りました。)
二階堂千鶴
ありがとう亜利沙!!貴女は商店街のヒーローですわ!!
松田亜利沙
あ…はい…ありがとうございます…えへへ。
二階堂千鶴
だ、大丈夫ですの?さっきからぼんやりしているような…。
松田亜利沙
気にしないでください。ライブ後は、いつもこうなので…えへ、えへへ…。
二階堂千鶴
ええ…?
松田亜利沙
(この日のホームラン。この1球が、全ての始まりだと、この時のありさは気づきませんでした。)
(台詞数: 50)