少女:松田亜利沙の話
BGM
瞳の中のシリウス
脚本家
nmcA
投稿日時
2016-10-15 00:49:54

脚本家コメント
真面目な亜利沙です。

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松田亜利沙
【ステージ右端に置かれた学校の机にあるおもちゃがライトに照らされる】
松田亜利沙
亜利沙だって、小さいころから普通にアイドルになりたかったんです。
松田亜利沙
【舞台袖から現れた少女にスポットライトが当たる。】
松田亜利沙
こう見えても、人気者だったんですよ!昼休みは教壇に上がってマイク片手に歌ってたんです!
松田亜利沙
クラスのみんなが鉛筆を振って応援してくれる。それが本当に嬉しかったんです。
松田亜利沙
【少女がクルクルと回転する。机に当たっていたライトが消える】
松田亜利沙
5年生になっても亜利沙は小さなアイドル活動を続けていました。
松田亜利沙
【少女は回るのを止めて、正面に向き直る】
松田亜利沙
でも、だんだんとみんなの反応がおかしくなってきました。
松田亜利沙
【別の机にライトが当たる。机上にはマイクが置かれ、周りにはたくさんのシューズが並んでいる】
松田亜利沙
だけど、亜利沙は歌うことを止めませんでした。だって、歌うのが楽しかったんです!
松田亜利沙
でも、4月には十人はいた観客が一人消え、二人消え。気付けば観親友一人になっていました。
松田亜利沙
【ライトが徐々に絞られ、シューズが一つしか見えなくなる】
松田亜利沙
忘れもしません、5月21日。いつものようにマイクを持つと親友が亜利沙の袖を引っぱりました。
松田亜利沙
そして、こう言ったのです。「誰に歌ってるの?もう誰も聞いていないよ?」って
松田亜利沙
【最後のシューズがライトから消え、机だけが取り残される】
松田亜利沙
その日を境に私は歌うことも踊ることも辞めました。
松田亜利沙
【机にあたっていたライトが絞られ、マイクが闇に消えるのと合わせて少女のライトも落とされる】
松田亜利沙
【また別の机が照らされる。机の上には使い古されたノートがうずたかく積まれている】
松田亜利沙
中学生になりました。アイドルの真似事を止めると、アイドルの追っかけに夢中になりました。
松田亜利沙
楽しいんですよ、アイドルちゃんを調べるのは!テレビでは見せないあんな顔やあんな姿!
松田亜利沙
一挙手一投足も見逃せない!遠征費用も何とか工面していけるライブは全部行って……
松田亜利沙
【少女へのライトが徐々に強くなる】
松田亜利沙
亜利沙はデータベースを作りました!血液型に身長はもちろん、生で見た感じまで網羅!
松田亜利沙
データを集めれば集めるほど、楽しさに夢中になって、そしてアイドルちゃんの存在が輝いて見えて
松田亜利沙
やっぱりアイドルちゃんに…………
松田亜利沙
【机を照らしていたライトが広がり、周囲にまたシューズが並んでいたことが分かる】
松田亜利沙
この頃はよくあの時の夢を見ていました。たった一人の観客が袖を引っ張っる夢を。
松田亜利沙
私は普通の中学生でした。アイドルに詳しいだけの普通の中学生。
松田亜利沙
私の三年間は波風立つことなく過ぎ、ただ、アイドルちゃんのデータが積み重なっていきました。
松田亜利沙
【机に当たったライトが消える】
松田亜利沙
転機が訪れたのは亜利沙が高校生になってからでした。
松田亜利沙
【少女の隣にライトが当たる。机の上に小さな紙切れが見える】
松田亜利沙
アイドルちゃんのライブの帰り道、黒い男の人からティンときたと言って名刺を渡されました。
松田亜利沙
名刺をもらってまず考えたのは、色んなアイドルちゃんに会えることだけでした。
松田亜利沙
さっそく予定を付けてカメラを隠し持ち、765プロ事務所へ足を運びます。
松田亜利沙
黒い男の人、高木社長は小鳥さんと一緒に事務所と新しくできる劇場を案内してもらいました。
松田亜利沙
【少女が舞台の中央へ移動する】
松田亜利沙
その劇場が、ここなんです。
松田亜利沙
ここを一目見て、今までのことが思い返されたんです。
松田亜利沙
【全ての机がライトに照らされる】
松田亜利沙
愛用のマイク……一つだけ残ったシューズ……アイドルデータベース……
松田亜利沙
それらを全部思い返したうえで、亜利沙は社長にこう告げていました。
松田亜利沙
アイドルになりたい、と。
松田亜利沙
【机にあたっていたライトが消え、少女だけが舞台上に浮かび上がる】
松田亜利沙
これが亜利沙のお話です。
松田亜利沙
えっ?話はこれで終わりか?ですか。そんなことありません。だって、
松田亜利沙
少女:松田亜利沙の話は終わっても、アイドル:松田亜利沙の話はまだまだこれからなんですから!
松田亜利沙
【少女が深く一礼をする。ライトが徐々に絞られ、舞台が真っ暗になる】
松田亜利沙
終劇

(台詞数: 50)