松田亜利沙
研究所の外に飛び出すと、そこには黒井社長が立っていました。
松田亜利沙
「く、黒井社長!?いったい何を…そのポケモンちゃんは?」
黒井社長
「フリーザー、冷凍ビーム」
松田亜利沙
黒井社長は、ありさの質問に答えてくれません。それどころか、ポケモンちゃんに命令をします。
松田亜利沙
ありさはとっさに立っている場所から飛び退きました。その瞬間…。
松田亜利沙
「と、扉が氷付けに!?」
松田亜利沙
ありさの背後にあった扉が、見事に凍ってしまいました。あのまま立っていたらと思うと…。
黒井社長
「…ふん。外したか、なかなか強運な奴だ」
松田亜利沙
黒井社長の言葉は、今まで接してきた物と全く違っています。まさか、これが本当の黒井社長…?
松田亜利沙
「黒井社長!どうしてこんな事をするんですか…!」
黒井社長
「目障りな鼠を潰そうとしただけだ。まったく…手間ばかり掛けさせる」
松田亜利沙
鼠って…!あ、ピカチュウちゃん落ち着いて下さい!!気持ちは分かりますけど!
黒井社長
「おい小娘。貴様らもこの島の秘密を解いたのだろ?」
松田亜利沙
「確かに、ポケモンのしるしの秘密は分かりましたけど…」
黒井社長
「ならば、あの空の理由も分かるのではないか?貴様の頭がスカスカでなければの話だがな」
松田亜利沙
黒井社長に言われ、空を見上げます。島の北西にあたる方向を見ると…。
松田亜利沙
「な、何なんですかあの虹色の雲は~!?」
黒井社長
「…気付いていなかったのか。その間の抜け方はある意味賞賛に値するほどだな」
松田亜利沙
北西の空には、虹色の雲が浮かんでいました。本当に何でしょう、あれ…。
黒井社長
「あれの中に、私が求めているポケモンが眠っているのだ。邪魔はさせんぞ?」
松田亜利沙
黒井社長が指示を出すと、二匹の鳥ポケモンちゃんが前に出てきました。
松田亜利沙
このポケモンちゃん、もしかしなくても…。
松田亜利沙
「ふ、フリーザーちゃんとサンダーちゃん…どうして…?」
松田亜利沙
何故、伝説のポケモンちゃんは黒井社長の指示に従っているのでしょうか。まさか、捕獲された?
黒井社長
「伝説となると、捕獲には骨が折れるのでな。これを使わせて貰った」
松田亜利沙
黒井社長が取り出したのは、らせん状の真っ黒な物体。
松田亜利沙
フリーザーちゃんと、サンダーちゃんの足にもついています。
黒井社長
「これさえあれば、いかなるポケモンも私の思うがまま。961の技術力さえあれば容易いことだ」
松田亜利沙
ポケモンちゃんを無理矢理操るなんて…酷いです!!
黒井社長
「酷い?信頼だの何だの、そのような間怠っこしく甘っちょろい思考より簡潔で明確はないか」
黒井社長
「やはり高木の思想に染まった人間とは相容れぬ。フリーザー、サンダー。足止めしろ」
松田亜利沙
黒井社長は言うと、傍らに駐めてあったゼロツー号に乗り込んでいきます。
松田亜利沙
乗り込み、発進させようとして、何か思いついたように動きを止めると。
黒井社長
「そうだ、フリーザー、サンダー」
黒井社長
「別に小娘の息の根を止めても構わんぞ」
松田亜利沙
それだけ言うと、まるで興味を失ったかのように飛び去っていきます。
松田亜利沙
「い、息の根をするって…まさか!?」
松田亜利沙
指示を受けたサンダーが動きました。嘴をありさに向けて、構えをとります。
松田亜利沙
…この構え、ありさはよく知っています。雪歩さんのオニドリルちゃんの得意技…。
松田亜利沙
──サンダーの ドリルくちばし!!
松田亜利沙
サンダーちゃんの鋭い嘴が、ありさに向かってきます。ありさは恐怖で動けないまま……。
(台詞数: 41)