松田亜利沙
「ふぇ~…あ~つ~い~で~す~…」
松田亜利沙
ありさとピカチュウちゃんを乗せたゼロワン号が進むのは、溶岩煮えたぎる火山です。
松田亜利沙
暑い所なのでギャロップちゃんやヒトカゲちゃん達、炎タイプのポケモンちゃんがたくさんいます。
松田亜利沙
と、ゼロワン号を興味津々と言った様子でこちらを見ているポケモンちゃんがいました。
松田亜利沙
「むふふっ、ロコンちゃんがこっちを見ています~!!エサ、食べますか?」
松田亜利沙
昴ちゃんに教わったように、丁寧にポケモンフーズを投げます。狙い通り、ロコンちゃんの足元に。
松田亜利沙
ロコンちゃんは最初、不思議そうに前足でつついたり、匂いを嗅いでいましたが…。
松田亜利沙
ガツガツ!ムシャムシャ!ガツガツ!ムシャムシャ!と、美味しそうに食べ始めました!
松田亜利沙
…勢いよすぎじゃないですか?
松田亜利沙
──────────。
松田亜利沙
ビックリするくらいよく食べるロコンちゃんを写真に収めて、さらに奥に進みます。すると。
松田亜利沙
「はて…?進路上に何かありますね。卵?」
松田亜利沙
ありさの眼前に、とても大きな卵がありました。赤とオレンジの、ありさくらいの大きさです。
松田亜利沙
「似たような卵をトンネルで見た気がします。一応写真を撮っておきましょう」
松田亜利沙
カメラを構えると、突然ピカチュウちゃんが卵の上に乗っかりました。こ、これは…!
松田亜利沙
「玉乗りピカチュウちゃんですね~!可愛いです~!」
松田亜利沙
「玉乗りピカチュウちゃんですね~!可愛いです…って、危ないから早く戻ってきて下さい~!」
松田亜利沙
必死に声を掛けると、ピカチュウちゃんは満足した顔でこちらに戻ってきました。
松田亜利沙
…帰ってくるときに卵を蹴るようにしてジャンプしたせいで、蹴られた卵はそのまま溶岩の川へ…。
松田亜利沙
「いやああああああああああああああああああああ!?」
松田亜利沙
卵が溶岩に沈む音と、ありさの悲鳴が口から漏れたのはほぼ同時でした。
松田亜利沙
卵はぶずぶずと嫌な音を立てながら沈んでいきます。得体の知れない卵でしたが…。
松田亜利沙
孵りたかっただろう。そう思うと涙が零れそうになります。
松田亜利沙
『ギャーオ!!』
松田亜利沙
溶岩の川から鳴き声が聞こえたのはその時でした。同時に、川から何かが飛び上がりました。
松田亜利沙
溶岩から飛び出したのは巨大な、まるで炎が鳥になったようなポケモンちゃん。
松田亜利沙
ありさはこのポケモンちゃんを、伝記や物語の中だけで知っています。
松田亜利沙
そのポケモンちゃんは、ありさをじっと見つめると体を翻し、遠い空へと飛び去っていきました。
松田亜利沙
「あれは伝説のポケモン、ファイヤー…?」
松田亜利沙
その雄大な姿に、ありさは持っていたカメラを構えることを忘れていました。
松田亜利沙
──────────。
松田亜利沙
「まさかファイヤーちゃんが実在…いや、見間違いかもしれないし…」
松田亜利沙
なんでありさは写真を撮ってないんでしょうか…。悔やんでも悔やみきれません…。
松田亜利沙
妙に凹んだままゼロワン号を進めます。すると、目の前に一匹のリザードちゃんがいました。
松田亜利沙
気晴らし、と言うのも変ですけど、リザードちゃんにエサをあげちゃいましょう。狙いを定めて…!
松田亜利沙
──スキル:重い球
松田亜利沙
リザードちゃんに投げたポケモンフーズは、見事リザードちゃんの顔に命中。そのまま溶岩の中へ。
松田亜利沙
「ひぃやあああああああ!?またですかああああ!?」
松田亜利沙
リザードちゃんはずぶずぶと、ターミネーターみたいに沈んでいきます。全身が沈みきって…。
松田亜利沙
突然、溶岩溜まりが発光し始めました。思わず目を閉じてしまいます。
松田亜利沙
発光は数舜で止まりました。おそるおそる目を開けると、そこには…。
松田亜利沙
「り、リザードンちゃん?」
松田亜利沙
溶岩に落ちたリザードちゃんが進化したのか、リザードンちゃんが佇んでいました。
松田亜利沙
本人も何があったのか分かってない様子で、自分の翼や腕をキョロキョロとみています。
松田亜利沙
「…これ、ありさが突き落としたってバレたらどうしようも無いですよね?」
松田亜利沙
膝の上のピカチュウちゃんと相談しながらリザードちゃんをみると、目が合ってしまいました。
松田亜利沙
目と目が逢う瞬間、好きだと気付いた──訳でも無く。リザードンちゃんがこちらをじっと見ます。
松田亜利沙
「ゼロワン号、全速前進んんん!!」
松田亜利沙
リザードンちゃんが何か行動する前に、全速力で研修所まで走り抜けることにしました。
松田亜利沙
…ありさ、何であんな暑いところで滝のように冷や汗をかいてたんでしょう。
(台詞数: 50)