松田亜利沙
『ネズミの親分達がトリさんの所に行った頃には、』
松田亜利沙
『村中のみんなが集まったのではないか、と思うほどの騒ぎになっていました。』
松田亜利沙
『実のところ、朝方に足をくじいてしまった子イヌさんを除いては、』
松田亜利沙
『村中の動物の一匹残らずが、金のたまごを見に集まっていました。』
木下ひなた
もし。いったい、この騒ぎはなんなんだい?
松田亜利沙
『ネズミの親分は、何食わぬ顔で聞きました。』
松田亜利沙
『返ってくる答えは、「天使様のたまごの事で騒いでいる。」のみです。』
松田亜利沙
『一緒に聞いていたアカホシちゃんは、どうも納得いきません。』
松田亜利沙
『確かに、自分達がたまごをすり替えたはずなのに……。』
木下ひなた
本当に、これが天使様のたまごなのかい?
北上麗花
本当ですよ。だって、見てください。キラキラする輪が、付いているんですもの。
松田亜利沙
『そこに、野良仕事を終えてきた、ここの家に住むおじいさんが帰ってきました。』
北上麗花
おじいさん「こりゃたまげた。いったい何事じゃ!?」
松田亜利沙
『おじいさんは、自分の家にたくさんの動物が集まっているのを見て、ビックリしました。』
松田亜利沙
『動物のみんなは、いっせいに逃げました。』
松田亜利沙
『そして、物陰からおじいさんの様子を見ていました。』
北上麗花
おじいさん「おやおや…。どうしてここに、コレがあるのじゃ?」
松田亜利沙
『おじいさんは巣からたまごを拾い上げると、不思議そうに言いました。』
北上麗花
あぁ、天使様のたまごが……。
松田亜利沙
『落ち込むトリさんでしたが、おじいさんは家に入ると、』
松田亜利沙
『部屋の天井の真ん中に吊るしてあるものに、キラキラする輪を上にして、たまごを飾りました。』
北上麗花
おじいさん「これがないと、夜が暗くてたまらんわい。」
松田亜利沙
『するとどうでしょう。』
松田亜利沙
『たまごは、それこそ、黒眼鏡が必要なほど、ぴかぴかと眩しく光りだしたのです!』
松田亜利沙
見てください!たまごが光り輝いています!
木下ひなた
まさに天使様のたまご!神々しい……。
松田亜利沙
『窓から、その様子を見ていたみんなは、あまりの美しさに、』
松田亜利沙
『ため息しか出ませんでした。』
松田亜利沙
『そしてトリさんは、満足そうに言いました。』
北上麗花
やっぱりあれは、天使様のたまごでしたでしょ♪
北上麗花
しかし、私の巣よりも、あの場所の方が相応しいようですね。
松田亜利沙
トリさん、それでいいのですか?折角たまごを授かったのに……。
北上麗花
えぇ。あちらの方が、天使様の居心地がよさそうですし。
北上麗花
それに、あの光り輝くお姿を、毎日見れるのですから♪
松田亜利沙
『こうして、天使様のたまごの騒動は、ひとまず幕を下ろしたのです。』
北上麗花
『その8につづく!』
(台詞数: 36)