如月千早
……一年に一度だけの、特別な一日が、終わる。
如月千早
この日のための歌の仕事。そのあとのパーティ。沢山の言葉とプレゼント。
如月千早
アイドルで良かった。仲間がいて良かった。
如月千早
……生きているって、良かったと感じる。
如月千早
……一年に一度だけの、特別な一日が、終わる。
如月千早
私の家。私の部屋。私はひとり、ここで眠りにつく。
如月千早
望んで孤独を選んだつもりは無い。孤独を望んでいるわけではない。でも、孤独は否定できない。
如月千早
星のように輝いていた、今日という特別な日を思えば……闇夜のような家かもしれない。
如月千早
……一年に一度だけの、特別な一日が、終わる。
如月千早
外界とは布団で隔てられ、扉と壁に隔てられ、カーテンと窓に隔てられた、床の中。
如月千早
眠る前には、このCDプレイヤーも止めねば。明かりを消さねば。
如月千早
……光も、音も無い。そんな錯覚さえ覚える、床の中。
如月千早
……一年に一度だけの、特別な一日が、終わる。
如月千早
眠りとは、ひとときの「死」だ。意識は消え、人との繋がりは無くなり、世界での役割を失う。
如月千早
目覚めとは、毎度の「誕生」だ。意識が生まれ、人と繋がり、私が世界に入っていく。
如月千早
夢とは、「生の裏側、もうひとつの『生』」だ。そこには何も無く、そこには何かが有る。
如月千早
……悲しい夢は、貴方が居たことを覚え続けるための、贈り物?
如月千早
……楽しい夢は、貴方がもうそれを得られないことを思い起こさせる、罰?
如月千早
……夢はつらい。記憶に残らないからじゃない。残らないのに、「生」を思い知らされるから。
如月千早
……一年に一度だけの、特別な一日が、終わる。
如月千早
……それでも。
如月千早
私は、生きたいと思う。幸せになりたいと思う。歌いたいと思う。
如月千早
歌わねば、ではなく。昨日までの過去を受け容れて、歌いたい。
如月千早
幸せにならねば、ではなく。明日からの未来を願って、幸せになりたい。
如月千早
生きねば、ではなく。今日をひとつひとつ感じて、生きたい。
如月千早
……
如月千早
……差し込む朝日。私はまた、「生まれた」のだ。今日を生きるために。
如月千早
……一度だけの、今日という『特別な日』が、また始まる。
(台詞数: 28)