高坂海美
わたしは岩である
高坂海美
もとは、この地球そのものであった
高坂海美
何十億年もの間、ドキドキしっぱなしのハートが
高坂海美
喜び
高坂海美
または悲しみによって
高坂海美
ぱちんと弾け
高坂海美
大地が隆起し、天を貫き、砕け、連続が不連続となり
高坂海美
私は岩となった
高坂海美
身体はまだ火照る
高坂海美
この熱は風を起こし、雲を呼び、雨を降らせる
百瀬莉緒
あらやだ、降ってきたわ。
高坂海美
水は高いところから低いところへと流れる
高坂海美
一滴一滴の雫は、この熱を醒ましながら表面を撫でるだけであるが
高坂海美
収束し、大きな流れとなった途端
高坂海美
私の体を突き動かした
高坂海美
ごろん
高坂海美
転がる
高坂海美
止まる
高坂海美
ごろんごろん
高坂海美
転がる
高坂海美
また止まる
高坂海美
百年、二百年をかけ
高坂海美
ごろ
高坂海美
ごろごろん
高坂海美
転がる度、ぶつかり、角が取れる
高坂海美
削られ、摩耗し、丸くなる
高坂海美
転がり続け、気がつけば賑やかな場所まで来ていた
舞浜歩
今日は洗濯日和だなー
高坂海美
「岩」だった私も、いつの間にか「石」になっていた
高坂海美
ころ
高坂海美
ころころころ
高坂海美
流される
高坂海美
水の流れに身を任せる
高坂海美
さらに削られ、丸く丸く
高坂海美
さらに小さな
高坂海美
「砂」になる
高坂海美
さら
高坂海美
さらさらと
高坂海美
カニが私に穴をあけ巣を作る
高坂海美
私達が集まり流れになる
高坂海美
気が付けばそこは
高坂海美
海であった
高坂海美
わたしは「海」になった
高坂海美
青く青く広がりながら
高坂海美
日の光を浴び
高坂海美
私は「空」になる
高坂海美
「雲」になり、「雨」になる
高坂海美
大地に染み込み、再び私は「地球」へ戻る
高坂海美
残ったのは
高坂海美
残ったのは波の音だけであった
(台詞数: 50)