馬場このみ 29歳 プロデューサー31話
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脚本家
nmcA
投稿日時
2017-10-26 00:21:37

脚本家コメント
第3章「ろーりんぐ〇えっぐ」第2話
【ここまでのお話】
 武道館ライブ後、仮眠をとっていたこのみは5年後の765プロに心だけタイムスリップしていた。自らの身体の変化に戸惑うものの、プロデューサーとして活動することを決意する。
 スピカを軌道に乗せ、ひなたの悩みを解決したこのみは、元の時代に関係する赤い物質を見つける。しかし、それ以上のヒントはなく、引き続き、5年後の世界でプロデューサーとして働き続けることになった。
 桃子と育のドラマについていったこのみはなぜかドラマに出演することに。心が記憶していた演技力でそれを乗り切るが、収録後、育から相談を持ち掛けられる。

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永吉昴
「永吉昴の~スポーツ100番勝負!!!」
永吉昴
「今日はボクシングに挑戦するよ」
永吉昴
「っと、その前に。今日は特別ゲストに来てもらっているからまずはその紹介から。どうぞ!」
中谷育
「おはようございます、中谷育です!」
永吉昴
「へへっ、今日はよろしくな、育!」
馬場このみ
昴ちゃんが拳を突き出すと、育ちゃんがそれに応えて拳を合わせる。
馬場このみ
『永吉昴のスポーツ100番勝負!』は土曜朝の情報番組内の30分コーナー。
馬場このみ
昴ちゃんのさわやかなイメージが土曜の朝にぴったりと、お父さんお母さん世代に人気がある。
永吉昴
「ところで、育ってボクシングの経験は?」
中谷育
「初めてです。でも、ボクササイズってありますよね?だから、興味はあって。昴さんは?」
永吉昴
「アタシはこのコーナーでやったことが……あったよね?だよね!よし、覚えてた!」
馬場このみ
昴ちゃんの大きなガッツポーズにスタッフから笑い声が起こる。
馬場このみ
2人がリングの近くへ移動し、コーチからのティーチングが始まる。
馬場このみ
初めは基本フォームの確認。さらに、左ジャブと右ストレートと続く。
永吉昴
「へぇ~、育、すっげーな!」
馬場このみ
昴ちゃんが私がよく聞いていた声を上げる。その視線の先には育ちゃんがいる。
中谷育
「そ、そう、ですか?えへへ」
馬場このみ
照れる育ちゃんにコーチも昴ちゃん同様に驚きと称賛の声を上げる。
馬場このみ
画面に映っているのは3人だけだが、実際には私を含めたスタッフ全員が驚いていた。
馬場このみ
10歳からその姿を見てきた私達からすると、育ちゃんにはかわいいイメージがあった。
馬場このみ
しかし、基本フォームをとり、ジャブとストレートを繰り出す姿にあったのは凛々しさだったのだ。
永吉昴
「……こりゃ、アタシも負けてられないな」
馬場このみ
そのつぶやきを聞き逃さなかったカメラが昴ちゃんを大写しにする。
馬場このみ
どうやら今回もいいコーナーになりそうだ。
馬場このみ
「お疲れ様、2人とも」
馬場このみ
スパーリング前に休憩が入ったので椅子に腰かける2人にドリンクとタオルを差し入れる。
中谷育
「ありがとう。ねえ、そんなに、私のボクシング凄かったの?」
永吉昴
「ああ、なんていうか……気合がこもっててさ!早くスパーリングやりたくなったよ」
馬場このみ
「私もあんなかっこいい育ちゃんを見たことがなかったから。もしかしてそういう演技をしたの?」
馬場このみ
ペットボトルのふたをキュッと閉めて、育ちゃんは小さく頷く。
中谷育
「ボクシングじゃなくて……卓球だったけどね」
永吉昴
「卓球……って、桃子と一緒に出てた、あれか。でも、ボクシングと関係ないよな」
中谷育
「でも相手に負けたくないって気持ちは一緒でしょ?スポーツにはそういうの重要だと思って」
馬場このみ
なるほどねー、と昴ちゃんが感心したところで、ディレクターから昴ちゃんに声がかかった。
馬場このみ
「……どう?感触は」
馬場このみ
昴ちゃんにいってらっしゃいと手を振りつつ、私は育ちゃんの隣に座る。
中谷育
「うん、やっていけそうだけど……。多分、違う」
馬場このみ
「私もそう思うわ」
馬場このみ
RHD(レンコンハチミツドリンク)の入ったタンブラーに口を付ける。
中谷育
「この番組は昴さんのイメージと合致している。だから1年以上も愛されているんだって思った」
馬場このみ
「これから育ちゃんのイメージを変えていく方法もあるわよ?」
中谷育
「そうだね。でも……」
馬場このみ
育ちゃんはちらりと昴ちゃんの方を見る。
中谷育
「……とりあえず、このあとのスパーリングには負けないようにがんばらないと」
馬場このみ
「ふふ、育ちゃんだけってわけにはいかないけど、応援するわよ」
中谷育
「うん、ありがとう!」
馬場このみ
タオルとドリンクを受け取って、育ちゃんを見送る。
馬場このみ
手帳を開いて、明日以降の予定を確認する。私の担当で育ちゃんが同行できそうなのは……。
馬場このみ
「……うん、この仕事にしてみましょうか」
馬場このみ
昴ちゃんの側に駆け寄りディレクターの話を聞く育ちゃんを見ながら、私は一人呟いた。

(台詞数: 50)