児戯
BGM
瞳の中のシリウス
脚本家
nmcA
投稿日時
2017-02-18 02:48:28

脚本家コメント
【閲覧注意】
なんかごめんなさい。
艶っぽさを出そうとしたら、場違いなものが……。
表現って難しいです。

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周防桃子
スプーンからプリンが滑り落ちる。
周防桃子
口があっ、という形を作る間も与えずに、プリンは彼女の手の甲の上で存在意義を無くした。
周防桃子
彼女はじっと手の甲を見た。
周防桃子
目は見る見るうちに潤いを増し、頬は上気して赤みを帯びていく。
周防桃子
彼女の喉が唾液を飲み込むのが分かった。そして、次の瞬間、彼女は左手を口に宛がい、
周防桃子
つややかな唇と野苺のように真っ赤な舌を使って、器用にプリンだったものを飲み込んでいった。
周防桃子
じゅるり……
周防桃子
じゅるり…じゅるり
周防桃子
じゅるり…じゅるり……じゅるり
周防桃子
彼女の手から彼女の眼へと視線を移す。
周防桃子
彼女の眼は……じっと私の眼を見ていた。
中谷育
…………
中谷育
スプーンからプリンが滑り落ちた。
中谷育
あっ、と叫ぶ間もなくわたしの手の甲に落ちる。
中谷育
ぐちょぐちょになったプリン。わたしが彼女に食べさせるはずだったプリン。
中谷育
スッとスプーンを差し出せば彼女は戸惑いながらも口を突き出してくれるはずだった。
中谷育
水あめを塗ったのような唇で、リンゴ飴みたいに真っ赤な舌の上にどろりとしたプリンを滑り込ませ
中谷育
恍惚としたその表情を独り占めするはずだった。
中谷育
……視界が歪む。手の甲に落ちた冷ややかな塊がわたしの心をそっと押す。
中谷育
ゆっくりと左手をあげる。崩れた塊をこぼさぬように。そして、私は
中谷育
プリンだったものに唇でかぶりつく。
中谷育
じゅるり……
中谷育
じゅるり……じゅるり
中谷育
じゅるり…じゅるり……じゅるり
中谷育
……彼女と眼が合った。
中谷育
私は口を閉じたままにこりと微笑んだ。
周防桃子
…………
周防桃子
彼女が席を立ち、こちらへ向かってくる。
周防桃子
私を見下ろす形になる。ゆっくり頭を下げ顔を近づけてきた。
中谷育
彼女の顔がだんだんと近づいてくる。私の口はまだ甘い香りで満たされている。
周防桃子
うるんだ眼が近づく。上気した頬が近づく。
中谷育
長いまつげが近い。潤った唇が近い。
周防桃子
鼻と鼻がぶつかりあうと
中谷育
わたしの口から彼女の口へ
周防桃子
彼女の口から私の口へ
中谷育
甘い甘い幸せが
周防桃子
甘い甘い恥じらいが
中谷育
お互いの口の中で
周防桃子
混じりあった。
中谷育
……
周防桃子
……
中谷育
私と彼女の鼻が離れると二人の間にスーッと白い糸が生まれた。
周防桃子
私は、ぼうっとそれを見つめた。
周防桃子
……彼女が席に戻った。
周防桃子
彼女がスプーンを手に取り、そっとプリンを掬う。
中谷育
プリンはスプーンの上で艶やかに揺れた。
周防桃子
彼女はスプーンを差し出して、私に近づける。
中谷育
わたしはスプーンを差し出して、彼女に近づけた。
周防桃子
私が口を小さく開けると、
周防桃子
スプーンはすぅっと方向を変え、彼女の口へと入っていった。

(台詞数: 50)