天空橋朋花
さて、何故私が二人を連れて二階堂家に来たのかと申しますと、
天空橋朋花
遡る事数刻前。
中谷育
『えー、運動会の飾り、事務所で作ってちゃダメなの?』
周防桃子
『桃子もここでやろうと思ってたのに、小鳥さんが……』
天空橋朋花
ピヨ『ごめんね二人とも。今から大事なお客様がいらっしゃるの。』
天空橋朋花
あ、小鳥さんの役は私がやるんですね。
中谷育
『どうしよう、今日中に終わらせないと、明日は朝からお仕事だから……』
周防桃子
『桃子も、お仕事早く終わるの今日だけだから、わざわざ材料持って来たのに。』
天空橋朋花
あずさ『あらあら~、二人ともお困りの様ね~?』
天空橋朋花
あずささん役もですか。忙しいですね~。
天空橋朋花
あずさ『それなら、千鶴ちゃんのお宅をお借りしたらどうかしら?』
天空橋朋花
あずさ『ここからすぐ近くだし結構広いから、お願いしてみたら?』
天空橋朋花
という事でお電話してみたら、千鶴さんのお母様、二つ返事で快諾して下さいました。
天空橋朋花
で、以前お邪魔した事があるというあずささんの案内で、連れ立って二階堂精肉店へ……
天空橋朋花
……ええそうですよ。案内役はしっかりはぐれて、只今絶賛迷子中ですよ。
天空橋朋花
で、今ここ。
天空橋朋花
成程得心行きましたわと、起きがけ若干寝惚けた千鶴さんは欠伸混じりに、
天空橋朋花
作業に勤しむ二人を見遣る。
天空橋朋花
居間一面に散らばった半紙の造花や、色とりどりの風船細工。
天空橋朋花
二人を手伝うひなたちゃんと、
天空橋朋花
作業の邪魔にならぬ様、片隅から片付けてゆく、貴音さんの嫋やかな仕草、
天空橋朋花
それらを眺める、千鶴さんの穏やかな瞳。
天空橋朋花
実を言いますと、この家までの道中、育ちゃんと桃子ちゃん、それは大層なはしゃぎ様でした。
天空橋朋花
何故なら育ちゃんは貴音さん、桃子ちゃんは千鶴さんに、とてもとても憧れているんですよ。
天空橋朋花
え?イメージ的に反対じゃないのか、ですか?
天空橋朋花
……無いものを求める憧れ、というのも有るのです。
中谷育
「ねえ、貴音さん!私、将来貴音さんみたいな人になりたいの!」
天空橋朋花
育ちゃんは屈託ないですね~。おやおや貴音さん、頬をほんのり赤らめてます。
中谷育
「桃子ちゃんは、千鶴さんみたいになりたいんだよね?」
周防桃子
「や、別に、その、千鶴さんみたいなお母さんの子供は、楽しいだろうなって……」
中谷育
「でね、将来そんな風になれるように、二人で特訓してるの!」
天空橋朋花
「あらあら、二人とも偉いですね~。どんな特訓をしてるのかしら?」
周防桃子
「モノマネ。」
天空橋朋花
「え?」
中谷育
「じゃあ見てて?私から行くよ?」
中谷育
「プロデューサーも、一緒にティーを飲みませんこと?ティーバッグはそちらにありますわ。」
中谷育
「ふ~。この髪型は毎朝セットが大変ですわ…と、専属のヘアメイクが言ってましたわ!」
周防桃子
「しょうがないなぁ。じゃ、桃子もやるけど……」
周防桃子
「……らぁめん、それは只の食に非ず。日々探求、精進して行く道、そのもの。」
周防桃子
「たのもーう!メンカタカラメ ヤサイダブル ニンニクアブラマシマシで!」
天空橋朋花
微笑ましい二人の発表会を、慈愛に満ちた瞳で見つめる貴音さんと千鶴さん。そう……
天空橋朋花
この表情である。
天空橋朋花
氷像の様に固まった二人の前で、興に乗った少女達は、次々と練習の成果を発表するのでした~。
天空橋朋花
……。
天空橋朋花
お邪魔した時は、少々元気の無い様子だったひなたちゃんは
天空橋朋花
『凄いねぇ、二人とも大したもんだぁ』と、にこやかに手を叩いています。
天空橋朋花
良く判りませんが、結果オーライという事なのでしょうか?
(台詞数: 47)