中谷育
ーーー765島
中谷育
よかった。私が外にいられるうちに………
中谷育
見送れ、て………。
周防桃子
育?どうしたの!?ねえ、しっかりして!
中谷育
ーーーメディカルルーム
中谷育
ん………?
周防桃子
育、大丈夫?
中谷育
桃子ちゃん………ごめんね、心配かけちゃって。
周防桃子
本当に大丈夫なの?まだ寝てた方がいいんじゃない?
中谷育
それはダメ。次に眠りにつけばきっと永遠に目覚めなくなる。
中谷育
そうでしょ?千鶴?
二階堂千鶴
………ええ。そうなる前に、あなたを岩戸へ戻しますわ。
周防桃子
千鶴さん、どういうこと?
二階堂千鶴
育の身体はもうもたないのです。だから、岩戸へ戻すのです。
周防桃子
それって死んじゃうってこと!?
中谷育
ううん、違うよ。島と一つになるだけ。
二階堂千鶴
今、島の動植物が次々と死んでいっていますわ。このままでは、いずれ私達も………
中谷育
分かってる。その前に、早く岩戸に戻らなくちゃ。
周防桃子
待って!どうしてそんなことになってるの?それと育がどう関係してるの?
中谷育
この島のミールは私を通して命を学ぼうとしている。
中谷育
でも今、ミールは死が命の…全ての終わりだと思って死に絶えようとしている。
中谷育
だから私は最期に教えなくちゃいけない。
中谷育
命の終わりはただの終わりなんかじゃなく、新たなはじまりなんだって事を。
中谷育
ここまで学んできたこと、それをここで終わらせるわけにはいかないから………!
周防桃子
分かんない……ミールって何なの?それが育を苦しめているの!?
周防桃子
もしそうなら、そんなの捨てちゃえば………
二階堂千鶴
今あなたが吸って、吐いている空気。それがミールですわ。
周防桃子
え………!?
二階堂千鶴
元は結晶だったのですが、ある日突然、この島を覆うバイオスフィアに姿を変えたのです。
周防桃子
バイオスフィア?
二階堂千鶴
窒素、酸素など………生物が生きられる空気環境のことですわ。
二階堂千鶴
………思えば、それが私達とミールの共生の第一歩でしたわ。
中谷育
私が島の施設にすぐアクセス出来るのも、ミールが大気になっているから。
周防桃子
ねえ、どうしても育は岩戸ってところに行かなくちゃいけないの?
中谷育
うん。私が死ねば、島そのものが死ぬ。そうなったら、桃子ちゃん達も生きられない。
中谷育
それに、完全にいなくなるわけじゃないから。
周防桃子
………。
(台詞数: 37)