真壁瑞希
「行く先々で出会った人の事、瑞希のマジックで笑顔にしてあげて・・・」
真壁瑞希
「幸せになる勇気をあげてよっ!」
真壁瑞希
...私は指切りをした
真壁瑞希
...私と同い年くらいだった、所恵美という名の女の子と約束を交わした
真壁瑞希
...そして、私は救われた
真壁瑞希
...所さんに、自力で歩けるようにしてもらった
真壁瑞希
...所さんに、生かされた
真壁瑞希
...あの日、間違いなく奇跡は起こりました
真壁瑞希
...でも、魔法をかけてくれた彼女にお礼を言う事はできませんでした
真壁瑞希
...一万分の一の確率で成功した彼女の魔法
真壁瑞希
...それによって彼女は私の目の前からいなくなってしまったのだから・・・
真壁瑞希
...あの日から、既にもう10年経とうとしている
真壁瑞希
...私もすっかり大人になったはずなのだけれども・・・
真壁瑞希
...見た目はあの日のまま、まるで時間が止まってしまったかの様に
真壁瑞希
...成長することはありませんでした
真壁瑞希
...それが意味することは、私はあの日に死んでいたということにほかならない
真壁瑞希
...死ななければいけなかった、そういう運命だったのですから・・・
真壁瑞希
...だから、本来は、これ以上用意されていなかった私の未来に入りこんでしまった為
真壁瑞希
...あの日の見た目のまま、こうして精神だけが成長してしまったのでしょう
真壁瑞希
...これはあくまで仮説でしかないですが・・・
真壁瑞希
...私は所さんとの約束通り、各地をまわって、マジックを披露している
真壁瑞希
...約束を守って、マジックを続け、人々の笑顔を記憶に収集していれば
真壁瑞希
...いつかまた、彼女に会える日がくるかもしれない
真壁瑞希
...そんな淡い期待を抱いている
真壁瑞希
...一万分に一の確率、いや、それ以上の確率でやってくるかもしれない偶然に縋って・・・
真壁瑞希
...私は今日もマジックを披露します
真壁瑞希
それでは、はじめます
真壁瑞希
...今回は公園に来ていた
真壁瑞希
...気の向くままに、ふらっとやってきた小さな公園
真壁瑞希
...初めてやってくる公園のはずなのに・・・
真壁瑞希
...一度、来たことあるような、なんとなく、懐かしい感じがして
真壁瑞希
...鳥肌がぞわっと立ってしまうような、そんな奇妙な感覚に陥っていた
真壁瑞希
...ただ、そんな気持ちは表になど全く出さず、ポーカーフェイスを保って
真壁瑞希
...私は観客に向けてマジックを続けていた
真壁瑞希
...拍手喝采、大盛況とはこの光景の事をいうのだろう
真壁瑞希
今回はこれでおしまいです
真壁瑞希
ありがとうございました
真壁瑞希
...たくさんの人々の笑顔を目に焼き付けて、収集する
真壁瑞希
...今回も、所さんには会えませんでした・・・
真壁瑞希
...ボソッ、心の中でそう呟く
真壁瑞希
...マジックが終わると、それを見に来ていた人集りは散り散りになっていく
真壁瑞希
...それを横目にしながら、私は道具などを片付けていると・・・
中谷育
ジィー・・・
真壁瑞希
...人の視線を感じて顔をあげると・・・
真壁瑞希
...そこには神妙な面持ちで私の事を見つめている少女がいた
真壁瑞希
...もしかして、私の顔に何かついているのでしょうか?
中谷育
~二人の邂逅~
中谷育
~人々はそれを奇跡と言うだろう~
中谷育
~でも、わたしは運命だと思った~
真壁瑞希
どうかしましたか、小さなお嬢さん?
(台詞数: 50)