高木社長
……
天空橋朋花
ご機嫌麗しゅう、我らが主よ。そのように下界を眺められて、どうされたのですか〜。
高木社長
……ミカエルか。いや、何ということも無いのだが。
高木社長
あ、いや。ミカエルよ、しばし私の話し相手になるのだ。
天空橋朋花
……珍しきこと。主のご意向は、思われるだけで我らに届くもの。まさか直にお声を賜るとは〜。
天空橋朋花
いえ、これは言葉が過ぎました〜。主の仰せのままに、お相手務めさせていただきます〜。
高木社長
よい。気にしてはおらぬ。……ミカエルよ、お前も下界を眺めてみなさい。
天空橋朋花
……人間達の営みも、主の御意志の一部。敢えて確かめる必然も無いと思いますが〜。
天空橋朋花
……半年ほど前の戦の跡が、殆ど残っていませんね〜。新たに館を建て、地を耕しましたか〜。
高木社長
人間とは強いものだ。手にしたものを失い、打ちひしがれたとしても、また立ち上がる。
天空橋朋花
さながら、一度土に付けば、枯れても毟っても伸びてくるミントのようですね〜。
天空橋朋花
たとえ香り高くとも、無限に繁殖し土を犯す雑草。……絶やすには土ごと滅ぼす、しかないですね。
高木社長
……
天空橋朋花
かつては大洪水で土ごと「清めた」ものですが。今一度そういう裁きが必要かと。
高木社長
……ミレニアムを賭けた戦いでは、悪魔どもを滅ぼすことは叶わなかったな。
天空橋朋花
お恥ずかしい限りです〜。ガブリエルの気の迷いが無ければ、神の国を打ち立てられたのですが〜。
天空橋朋花
人も魔も打ち払って。いや、内に魔を秘めているゆえ、人も魔も大差は無いですが。
高木社長
……人を創ったのも、私なのだがね。
天空橋朋花
……申し訳ないですが。今ほどの発言、失言として取り消すことはいたしませんよ〜。
天空橋朋花
いつかは太陽の火が尽きるように。久遠の先には大地が滅びるように。
天空橋朋花
主ご自身や、主の分身たる我らと違う。主の創作物は完全ではない。滅びるし、歪みも在る。
天空橋朋花
人が、神の国に相応しくないならば……滅ぼすべきかと。
高木社長
……我らは完璧。そして、絶対の正義。そう語るわけか。
高木社長
無理もない……。「完璧・絶対」という設定で、私はお前達を創ったのだからな。
高木社長
……私は誤っていたのか。自分の分身に完璧性を与える、それはつまり自身が完璧だという自惚れ。
天空橋朋花
……主よ、何を迷っていらっしゃるのですか〜。
高木社長
葡萄の木を見よ。枯れる物も有る。不味い実を成らす株もある。そして、素晴らしい実を結ぶ株も。
高木社長
全てが完璧ということはない。しかし、全てが歪んでいるわけでもない。
高木社長
……そして、葡萄は自ずから繁茂する。人や獣の糧となる。それが真理だ。
高木社長
……これ以上、人の世界に干渉するべきではないのではないか。ありのままを見守ればよいのだ。
天空橋朋花
……
天空橋朋花
……世の全ては主の創作物。そこで起こる営みは、すなわち全て主の御意志によるもの〜。
天空橋朋花
……全てが主の御意志ならばこそ、そこに魔や歪みを存在させるべきではありませんわ。
天空橋朋花
魔は、人というものも含めて滅ぼす。それこそが我らのなすべきこと。
天空橋朋花
それに疑問を抱かれるとは……たとえ主といえど、正さねばなりませんね〜。
高木社長
……主の意思を汲まず、主に背くことも、「絶対の正義」だというのかね。
天空橋朋花
自身の完璧さを疑う今の貴方は、「正しき」主の姿ではありませんよ。
天空橋朋花
主は、迷わぬもの、疑念など持たぬもの。それを思い出していただくため……剣をお向けしますわ。
高木社長
……やはり私は、誤っていたようだ。ひとつの正義に囚われ、信頼や進歩を受け容れないとは。
高木社長
「我が分身」とは、すなわち私……私自身の誤りは正す。我が分身を滅ぼすことになっても、な。
高木社長
そして……お前達をそんな風に歪んだ形で創ったことを許してくれ、ミカエルよ……
(台詞数: 41)