百瀬莉緒
……案外渋滞してなかったから、早く着きすぎたみたいね。
馬場このみ
今日は音声収録だから、準備もそんなに要らないわね。じゃあ、喫茶店ででも時間潰ししましょ。
中谷育
わあ!わたし、そういうのやってみたかったんだ!
百瀬莉緒
ん?育ちゃん、やってみたかったって何のこと?喫茶店くらい行ったことあるでしょ?
中谷育
ええとね。オトナの女の人は、時間があるときおしゃべりしてすごすんだよね。
中谷育
わたしも学校の友だちとはお話しするけど、オトナの人とおしゃべりするの、はじめてかなって。
馬場このみ
あら、そんなにお姉さんとお話しするのが楽しみなの?嬉しいこと言ってくれるわね。
中谷育
うん!莉緒さんは、学校の先生よりキレイな女の人だし……
中谷育
このみさんは、おかあさんみたいに優しくて強いから、あこがれてるよ。
馬場このみ
……まあ、どうせそんな言われ方すると思ってましたけどね。
百瀬莉緒
それじゃ、どんなことお話ししましょうか。やっぱり、恋バナ?
中谷育
莉緒さん。アイドルはレンアイキンシなんだから。コーシューのメンゼンで話しちゃ、だめだよ。
馬場このみ
ウフフッ、莉緒ちゃんったら、完璧に言い込められてるわね。
百瀬莉緒
もう、このみ姉さんまで。じゃあ姉さんがトークテーマ決めてよ。
馬場このみ
そうねえ。私と莉緒ちゃん二人なら、お酒のこととか話すけど。今はちょっとねえ。
馬場このみ
エステのことでも、育ちゃんではチンプンカンプンだろうし。お化粧のことも……
中谷育
このみさん、わたしのことコドモあつかいしすぎだよ。
中谷育
わたしだって、おしゃれのこと分かるもん。髪をそめるとキレイになることとか。
百瀬莉緒
そういえば、私もこのみ姉さんも、ちょっと髪をいじってるわよね。
馬場このみ
そうそう。確かに中学生くらいの時から、髪染めてみたいとか考えてたわ。
中谷育
わたしも、早くオトナになって、髪をそめたりパーマにしてみたいな。
中谷育
……そうしたら、みんなもわたしのことをオトナって思ってくれるかな。
馬場このみ
……そうねえ。今と違う自分になりたいっていうのは、育ちゃんの頃なら思うことよね。
馬場このみ
でもね、髪を染めたから大人になれるわけじゃないの。それを「選ぶ」ことが大人になるってこと。
中谷育
……ちょっと分かりにくいかも。このみさん、どういうこと?
馬場このみ
初めて髪を染めた時はね、誰でも珍しがられるのよ。それで、色々言われるわけ。
馬場このみ
不良になったのかとか。親が泣いてるぞとか。色気付いてとか。大抵、ネガティブに言われるわ。
馬場このみ
……そういう言われ方をするのを承知で、その上で自分らしさを求めるのが、オトナってことかな。
中谷育
そうなんだ。オトナって、ガマンすることが大事なんだね。
百瀬莉緒
もうひとつ言うとね。一旦染めたら、今の育ちゃんみたいなキレイな黒髪に戻れるとは限らないわ。
百瀬莉緒
オトナになっていく過程には、何かを捨てていくことも有るってことかもね。
中谷育
……そうなの?なんだか、怖いな。
馬場このみ
ま、あんまりネガティブにならなくてもいいわよ。オトナになれば、楽しいことも増えていくしね。
百瀬莉緒
でもお姉さんは、育ちゃんのサラサラ黒髪が羨ましいぞ!そーれ、サワサワしちゃうぞ!
中谷育
もう、くすぐったいよ莉緒さん!コドモみたいなことしないでよ。
馬場このみ
……っと。そろそろいい時間ね。お店出ましょうか。
百瀬莉緒
育ちゃん、憧れのガールズトークはどうだった?
中谷育
すごく楽しかったし、ためになったよ!また二人とガールズトークしたいな。
中谷育
……でもね。
中谷育
……でもね。二人とも、喫茶店じゃなくて『カフェ』って言った方がいいかな。アイドルなんだし。
百瀬莉緒
……育ちゃん、結構チェック厳しいわねー。
馬場このみ
……相手の気持ちを考えずズケズケものを言えるのは、お姉さん達、ちょっと羨ましいぞ。
(台詞数: 42)