ジュリア
あたしは、アリサをメンバーに誘った事を二人に話した。
ジュリア
チヅルは此処に上がってくる前に響さんから受け取った、
ジュリア
メンテナンスを終えたギターの……
ジュリア
伴田路子が生前に細工を施したという、言うなれば彼女の形見の、
ジュリア
弦を張りながら、あたしの提案を、ただ黙って聞いた。
ジュリア
「……今だって、あんまり顔色良い様には見えねーし、」
ジュリア
「月一回休みが取れるかどうかなんて生活続けてたら、アンタ絶対、倒れちまうよ。」
ジュリア
「アリサにドラムを任せりゃ、アンタの負担も減る。プロデュースの仕事にも専念出来るだろ?」
二階堂千鶴
「……貴方が思い付きだけでそんな事を言い出したのではない事は、分かってますわ。」
二階堂千鶴
「千早さん、貴方はどう思われますか?」
如月千早
「……その亜利沙さんという方と会ってませんから、はっきりとは言えませんけど……、」
如月千早
「私は、ジュリアに賛成です。」
如月千早
「亜利沙さんは、千鶴さんに弟子入り志願するほど熱心な方なのでしょう?」
如月千早
「それだけの熱意が有れば、技量は自ずと付いて来るでしょうし、」
如月千早
「何より、私達のリーダーが決めた事ですから。」
ジュリア
………チハはこういう青臭い事を、真顔で言うからズルい。
二階堂千鶴
「分かりましたわ。では、お二人ともそのつもりで。」
二階堂千鶴
「亜利沙の技術面に関しては、まず問題無いでしょう。」
二階堂千鶴
「今回のセットリストの譜面は全て渡して、練習しておく様には言ってありますし。」
ジュリア
「は?じゃあチヅルも最初っからそのつもりだったって事じゃ……」
二階堂千鶴
「まあ、遅かれ早かれそうしようとは考えてましたわ。」
ジュリア
「早く言えっての!分かってりゃ今日の練習からチヅルのモノマネなんかさせないで……」
二階堂千鶴
「あの子は、別に私の物真似なんか出来ませんわよ。」
ジュリア
「……え?」
二階堂千鶴
「本人は完コピ出来てるつもりでしょうが……。あの子、独特な手クセがありますから。」
ジュリア
「え、いや、だって実際スゲー似てると思ったケド……」
二階堂千鶴
「ですから、抵抗無くあの子をメンバーに入れる為に、ここ数ヵ月は……」
二階堂千鶴
「私があの子の演奏を、コピーしてたのですわ。」
ジュリア
「マジか……。」
如月千早
「そんな異常なマネが出来るなんて……。」
ジュリア
あたしは改めて認識した。
ジュリア
「アンタ、やっぱり信用出来ねーわ。」
如月千早
「……同じく。」
二階堂千鶴
「なっ、何でですの!?」
ジュリア
常人が、異常人の言う通りに出来る訳がない。
ジュリア
ま、照らしてくれた道を、あたしたちは常識的なペースで進めば良いかね……。
二階堂千鶴
「ちょっとお二人とも!何とかおっしゃって!!」
(台詞数: 37)