天空橋朋花
○月☓日
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あの人達に連れられて、どうやら閉じ込められてしまったようです。
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目隠しをされて車で運ばれたので詳しくは分かりませんが、
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きっと方向的に、塔に近いところではないかと思っています。
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ここでの生活もしばらく経ちましたが、中々に快適なものです。
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ちゃんとしたベッドも水場もありますし、食事も三食ついてきます。
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もしかしたらここは、独房ではなく宿泊施設なのかもしれません。
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となると、やはり私は「とりあえず捕まえられた」ということでしょうか。
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さてさて、ここら辺で私の考えをまとめてみましょう。
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亜利沙さんが居なくなってしばらくしてから、この都市は何かが変わりました。
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変な人たちが彷徨くようになったり、頻繁に停電が起こったり……
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そして協会には頻繁に亜利沙さんを訪ねてくる人が多くなりました。
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正確には「この協会の一番偉い人」を、です。
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その人達も亜利沙さんの正体を知らなかったのでしょう。さすが亜利沙さんです。
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あ、ちなみに表向きには神父さんが一番偉いんですけど、彼は少し前に違う協会に出向いています。
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きっと、これも亜利沙さんの手回しなのでしょうか。
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ここで亜利沙さんの言葉を思い出してみましょう。
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「うまくすれば、シスターがありさの代わりになれるはずです」
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きっとこういう意味でしょう。
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あの人達に亜利沙さんの情報を渡せばそれ以上協会はマークから外され、
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私が協会のトップに成り代わる事ができる……と。
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あとは任せる、そういう事でしょう。
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私にとっては願ったり叶ったりでした。多くの人とお金を好きに使える立場が欲しかったので。
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だから、最初のうちはとても楽しくその立場を利用して好きに生活していました。
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ですが、何か違うことにすぐ気付きました。
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私が本当に欲していたものは、そんなものではなかったんですね。
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だから私は決めたのです。私が亜利沙さんの代わりに……
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あの人達に捕まろうと。
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亜利沙さんの思惑とは違う事をしてしまいました。でも仕方が無いのです。
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あの人達はいつ、乱暴な手段に出るかわかりませんでした。
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信者さん達を使えば、反抗できたかもしれません。でもそれでは駄目なのです。
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そんな事をしたら、協会は完全に政府の敵となってしまいます。
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そうすると亜利沙さんが戻ってきたときに、また皆で過ごせる場所がなくなってしまいますから。
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だから、亜利沙さん。早く戻って来てくださ…
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そこまで書いたとき、また隣の部屋から轟音が聞こえました。
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どうやら隣にも私と同じようにここで捕まってる人が居るようなのですが、
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何をしているのか、昼夜を問わずこのような大きな音をたててくる困った人です。
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これは確かに耐えられない。年々騒音被害が増加するというものです。
天空橋朋花
「すみませーん、もう静かにできますか?」
天空橋朋花
すぐに「ごめんなさーい!」と返ってきますが、どうせまた数時間後にこのくだりを繰り返します。
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まあ、今の私は隣人などに構っている暇などありません。早くこの日記を完成させなければ……
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昔から獄中記を書くのが夢だったのです。こればっかりは獄中にいないと書けません。
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まだここに来て三日目くらいなのですが、既に日記の中では一ヶ月が経っています。
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この辺りから徐々に文体や筆跡などを崩して行くことによって歪んでしまった感を演出します。
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あ、嘘っぽさを消すためにどうでも良い記事をもっと増やさなければなりませんね。
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ではこの意味深な日記はもう少し後に書いた事にして、そこまで徒然した日記で埋めて……
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その時、また大きな音が隣で起きました。今度は爆発のような激しい音。
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明らかに窓ガラスが割れた音もしました。大丈夫ですか?と語りかけても返事はありません。
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もしかして、私の部屋の外ではとんでもない事が……
天空橋朋花
それはそれで、また面白い物が書けそうですね。
(台詞数: 50)