馬場このみ 29歳 プロデューサー22話
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脚本家
nmcA
投稿日時
2017-08-08 23:48:30

脚本家コメント
第2章「うそつきアップルパイ」8話
【ここまでのお話】
 武道館ライブ後、仮眠をとっていたこのみは5年後の765プロに心だけタイムスリップしていた。自らの身体の変化に戸惑うものの、プロデューサーとして活動することを決意する。
 ひなたがキャラづくりに悩んでいると踏んだこのみは、まつりのラジオ番組にゲストとしてひなたを出すこととした。
 このみからのメールによりコーナー内でキャラに関する話題が取り上げられたが、それによって分かったのはひなたがキャラを作っていないらしいということだった。

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百瀬莉緒
「ふぅん、私が海外ロケに行っている間にそんなことになってたのね」
馬場このみ
「そうなの。キャラに悩んでると思ったんだけどなぁ」
馬場このみ
目の前を通る沢山の外国人旅行客を流し見て、手持ちのタンブラーに口を付ける。
百瀬莉緒
「それで、プロデューサーさんが空港に迎えに来てまで聞きたいことっていうのはもしかして」
馬場このみ
「ええ、ひなたちゃんが何で悩んでいるか、よ。何か知っているんでしょ?」
馬場このみ
莉緒ちゃんはストローを指先でくるくる回した。ロケ先で買ったというブレスレットが鈍く光る。
百瀬莉緒
「……ごめんなさい、私は何も知らないわ。ひなたちゃんが暗い顔をしてたのを見ただけだから」
馬場このみ
「そう……。ちなみに、それってどんなとき?」
百瀬莉緒
「確か楽屋でTVを見ていた時かしら。ひなたちゃんの話が流れてしばらくしたら……ね」
百瀬莉緒
「ひなたちゃんのこと、正直だとか純朴だとか褒めていたのに変だなと思ったのよ」
馬場このみ
やはり、ひなたちゃんが悩むポイントはその話題なのか。
百瀬莉緒
「でも、あの亜利沙ちゃんも気付けていないんでしょ?私たちで分かるのかしら?」
馬場このみ
「あー、それについても考え直さないといけなかったわね」
百瀬莉緒
「その言い方は一回は答えが見つかったような言い方だけど」
馬場このみ
「うん。亜利沙ちゃんはファン目線が強すぎるからかなって思ったのよ」
馬場このみ
キョトンとする莉緒ちゃんにさらに説明を加える。
馬場このみ
「ひなたちゃんって決してファンの前では暗い顔しなかったの。例え褒められてもね」
馬場このみ
「だから、一アイドルとしてひなたちゃんを見てしまって気付かなかったんじゃないかなって」
百瀬莉緒
「なるほど……。その考えでいくと、ひなたちゃんが別のウソをついている可能性はあるわけね」
馬場このみ
「……別のウソ?」
百瀬莉緒
「だって、ファンの前では暗い顔をしないんでしょ?別のウソがあると考えても不思議じゃないわ」
馬場このみ
「確かに……。でも、他にウソをつくところなんて」
エミリー
「……なくはないと思いますよ」
百瀬莉緒
「あら、ホント?私、全然思いつかないんだけど」
馬場このみ
「私もよ。エミリーちゃんの意見を聞かせてもらっていいかしら?」
馬場このみ
「……」
馬場このみ
声にならない声を上げて私と莉緒ちゃんは席を立ちあがった。
百瀬莉緒
「い、いつから後ろにいたの!」
エミリー
「そうですね。莉緒さんが『私のいない間に……』と言っているあたりでしょうか」
馬場このみ
「ほとんど最初からじゃない……」
馬場このみ
「まぁ、いいわ。おかえりなさい、エミリーちゃん」
エミリー
「はい、ただいま戻りました。仕掛け人様。お迎えありがとうございます」
馬場このみ
大きなキャリーバッグを従えてエミリーちゃんは深々とお辞儀をした。
百瀬莉緒
「で、どうだったの?あっちの大学も楽しそう?」
エミリー
「はい!行ってみて良かったです!おかげで余計に迷ってしまっていましたが」
百瀬莉緒
「悩めるのもエミリーちゃんの特権よ。いっぱい悩みなさい」
馬場このみ
大学受験を控えた18歳組は1年間アイドル活動を控えている。
馬場このみ
エミリーちゃんの今回の帰省は向こうの大学の見学を目的としたものだった。
エミリー
「ただ、向こうに行ってしまうと大和撫子としての活動ができなくなってしまうのが難点でして」
百瀬莉緒
「だ~いじょうぶよ、いざとなったらプロデューサーさんがイギリス支部を作ってくれるから♪」
馬場このみ
「莉緒ちゃんも無茶言うわね……。まぁ、社長なら作りかねないけど」
馬場このみ
三人の間に「まさか」とも「確かに」ともとれる笑いが起こる。
エミリー
「それで、さきほどの話なのですが」
馬場このみ
「ひなたちゃんのことよね。さっき心当たりがあるような言い方をしてたけど」
エミリー
「はい。実は……」
馬場このみ
騒がしい雑踏の中、エミリーちゃんの言葉を聞き漏らさないように耳を傾ける。
百瀬莉緒
「なるほど……ひなたちゃんらしいわね」
馬場このみ
……ピースは増えた。色々と腑に落ちる点もある。しかし、まだ確信には至れない。となると……
百瀬莉緒
「どうするの、プロデューサーさん?」
馬場このみ
「ええ、エミリーちゃんの答え、ひなたちゃんにぶつけるわよ」

(台詞数: 50)