エミリー
(てくてく)
エミリー
(てくてく)
エミリー
乗り合い自動車を降りてから随分経ちましたね。
エミリー
いえ、疲れてはおりません。大丈夫です。
エミリー
大和撫子のお稽古ではもっと長い時間踊り続ける事もありますし。
エミリー
それに都心と違って空気も爽やかで澄んでいますから、汗をかいても快適です。
エミリー
…………標高が高いからですか。確かに乗り合いの道のりもずっと上り坂でしたね。
エミリー
夜は星もよく見えるんですか?それも標高が高いからでしょうか。
エミリー
……なるほど。確かに都会と違って電光看板も見かけませんね。
エミリー
仕掛け人さまが子供の頃からこうなのですか?
エミリー
そうですか……思い出の場所が変わらずあるというのは素敵な事ですね。
エミリー
…………………
エミリー
そういえば、先程からどなたともすれ違いませんね。
エミリー
この変装用の眼鏡も、もう不要ではないでしょうか?
エミリー
いえ、特段外したいという訳でもありませんが、あまり慣れていないものですので。
エミリー
………かけたままの方がよろしいですか?それは何か理由が?
エミリー
似合っているから……。
エミリー
い、いえ。充分納得に足る理由でした。ありがとうございます。
エミリー
そうですか、似合っていますか。
エミリー
……………
エミリー
……………♪
エミリー
……………
エミリー
……………………………
エミリー
……………………………………………
エミリー
それにしても、本当に人っ子一人いませんね。乗り合いも先ほどの便が最終便なんですよね?
エミリー
なんとも……東京とは時間の流れ方が違うんですね。
エミリー
…………そういえば先ほどの停留所。
エミリー
いえ、大した事ではないのですが。
エミリー
"ハマイバ"と書いてありましたが、なんだか不思議な響きの停留所でしたね。
エミリー
はい?漢字があるのですか?
エミリー
"破魔射場"…………なんとも仰々しい字面です。
エミリー
……!破魔矢を射る神事が行われる場所なのですか!
エミリー
あの、それは古くから伝わる神事なのでしょうか?私が滞在する期間には行われますか?
エミリー
…………そうですか。今はもう行われていないのですか。残念です。
エミリー
はい?………仕掛け人さまのお祖母様はその神事を直接見た事があるのですか。
エミリー
え、よろしいのですか?
エミリー
はいっ!ぜひ直接お話を伺いたいです!
エミリー
あっ、でもご自宅にお邪魔していきなりお話を伺うのは失礼でしょうか?
エミリー
………話し相手にですか?ええもちろんです。私でよろしければ。
エミリー
お祖母様はお話し好きでいらっしゃるのですか?
エミリー
…………はぁ、話をさせてあげる事が孝行ですか。
エミリー
でも、それならば仕掛け人さまも一緒に聞くべきではないでしょうか?
エミリー
……ふふ♪ではお付き合いをお願いしますね?
エミリー
…………あっ。
エミリー
その神事の他に、仕掛け人さまの子供の頃のお話も訊いてみてもよろしいですか?
エミリー
……おや、何か聞かれて恥ずかしい事をしてらしたのですか?
エミリー
……では何も問題ありませんね!ふふ♪
エミリー
仕掛け人さまのお祖母様にお会いするのがより楽しみになって参りました。
エミリー
では、先を急ぎましょう♪
(台詞数: 49)