エミリー
仕掛け人さま。
エミリー
本日は、お忙しい中にもかかわらず、おいでくださったこと、まことにありがとうございます。
エミリー
あの…作法は気にせず、くつろいでくださいね?
エミリー
お茶会も、正式ものでなければ、あまり堅苦しくしないほうが良いと聞きましたので。
エミリー
それでは、お茶を点てさせていただきますね…。
エミリー
…えっ?様になっている…?
エミリー
いいえ、私など、まだまだです…!
エミリー
たしかに、お茶のお師匠様は、私の筋が良いと褒めてくださるのですが…。
エミリー
でも、それは礼儀や手際のことで、お茶の『こころ』については、まだ初歩に踏み込んだけです。
エミリー
…そのこころ、ですか?
エミリー
私の思うところが正しいかはわかりませんが…。
エミリー
…私は、お茶のお師匠様から『一期一会』という言葉を、最初に教わりました。
エミリー
『その出会いが二度とはないものかもしれないと心得て、お互いに誠意を尽くす』という心構え。
エミリー
お茶の席のことだけではなく、たとえば、大和撫子とごヒイキ様方との関係にも通じるものです。
エミリー
…恥ずかしい話ですが、最初のころは、この言葉を受け入れることができなかったのですよ。
エミリー
家族や仕掛け人さま、お友達の方々。私の大切な人たちと、もし二度と会えなくなったら、って。
エミリー
きっと、悲しくて、寂しくて、とても耐えられないって。考えるのも、イヤでした。
エミリー
それから色々と考えて、今は…なんとなく、わかってきた気がします。
エミリー
皆様と過ごす時間は、いつも素敵で、楽しくて、よろこびとうれしさにあふれていて…。
エミリー
その貴重で、かけがえのない時間は、私一人で作れるものではありません。
エミリー
仕掛け人さまや、皆様が私と出会ってくれたから。そうでなければ、ありえないことでした。
エミリー
どれだけ楽しい時間も、いつかは終わってしまうのは寂しいですが…。
エミリー
そう思えるだけの時間をいただけたことは、とても素晴らしいことですよね。
エミリー
ですから、まずは、私と出会ってくださった皆様に、ひとつひとつの出会いに感謝して…。
エミリー
その一つだっておろそかにせず、真剣に楽しんで、寂しがりたいと、そう思います。
エミリー
…。
エミリー
これが、私なりの『一期一会』です。
エミリー
私は未熟者ですから、どこまでその『こころ』を会得しているのかは、わかりません。
エミリー
…ただ、誠意だけは、今の私にある全てを尽くさせていただきますね。
エミリー
仕掛け人さまと過ごす、この貴重で、かげがえのなくて…ええと、その、時間のために。
エミリー
…。
エミリー
…あの、仕掛け人さま。
エミリー
私に教えてください。このこころを表現するには、どんな言葉がふさわしいですか?
エミリー
…いとおしい?
エミリー
いとおしい、ですか。聞いたばかりなのに、胸に染み込む言葉ですね…。
エミリー
ふふ…。仕掛け人さまのおかげで、またひとつ、素敵なことを知ることができました。
エミリー
ほんとうに、本当にありがとうございます、仕掛け人さま!
エミリー
…では、改めまして。
エミリー
仕掛け人さま。私は、今のこの時間、あなたと過ごす、このひと時が…。
エミリー
とても…いとおしい、です。
(台詞数: 40)