
エミリー
仕掛け人さま。元日より私の家に年始回りにお出でいただき、ありがとうございます!

エミリー
……はい。日本に来るにあたり、やはり大和撫子らしい生活がしたいとお父様にお願いして、

エミリー
この日本家屋を借りていただいたのです。門松の飾りつけは、家族みんなでしたんです。

エミリー
……

エミリー
『門松に/守られるように/花一輪』

エミリー
……まあ!仕掛け人さまは、俳句も嗜まれるのですね。まさに日本の心、素敵です!

エミリー
……あ。至らなくて申し訳ありません。お外は寒いですから、ぜひ中にお入りください。

エミリー
……いかがでしょうか?僅かながら骨董も集め、まだ拙いですがお花も生けてみました。

エミリー
いつもはお花ですが、松の内ですので。いまは鏡餅を床の間の真ん中に飾っています。

エミリー
……

エミリー
『骨董も/花も押し遣り/鏡餅』

エミリー
……そうですね。床の間が舞台ならば、本日の主演は鏡餅、ですね。

エミリー
さあさあ、どうぞお掛けください。ささやかなものですが、お節のお重もありますよ。

エミリー
田作りは豊作祈願、海老は長寿の願いが込められている、のですね。私、勉強したんです!

エミリー
蓮根は「先が見通せる」から縁起が良くて。伊達巻は、昔の書物にその形が似ていることから……

エミリー
……

エミリー
『雛鳥が/蘊蓄さえずる/お節かな』

エミリー
……Oh!す、すみません。知識をむやみにひけらかすのは、大和撫子に相応しくないですね。

エミリー
それでは気を取り直しまして……召し上がってください。なにかお取りしましょうか?

エミリー
……

エミリー
『酉の朝/皆でついばむ/お節重』

エミリー
……なるほど!ひとつのお重から銘々取ることも、日本のならわしの一つなのですね。

エミリー
新年の喜びを、家族、そして年神様と共にいただく。実に素敵です!

エミリー
……伊達巻も黒豆も、栗きんとんも、甘くて美味しいでしゅ~。幸せです~。

エミリー
……か、重ね重ね申し訳ありません。仕掛け人さまをおもてなししないと。お屠蘇をお持ちします。

エミリー
……

エミリー
『屠蘇呑めず/かすかに寒い/車通い』

エミリー
そうですね……お車では酒精は禁物。それではせめて、お茶を淹れてきますね。

エミリー
……もうお帰りになるのですか、仕掛け人さま!?折角なので、カルタを出そうと思ったのに。

エミリー
……皆さまのところにも、お年始回りされるのですよね。それではせめて、お見送りします。

エミリー
……ところで、先ほどから少し気になっていることがあるのですが……

エミリー
最初に詠まれた、『門松に/守られるように/花一輪』の句、なのですが。

エミリー
私の家の玄関には、注連飾りはあっても花は飾っていないのですが、どういう意味なのでしょうか?

エミリー
……門松をお父様とお母様、私を花に例えられた、ですか。……得心しました。

エミリー
それでは、元日からお勤めお疲れ様です。またお稽古、よろしくお願いします。

エミリー
……

エミリー
……言葉の綾でも、「花」と呼んでいただくなんて。……新年から嬉しいお年玉、です。
(台詞数: 37)