エミリー
……
真壁瑞希
もしもし、そこのかわい子ちゃん。
エミリー
あら、私に何か?
真壁瑞希
あんまり難しい顔をしてるので気になって……隣、良いですか。
エミリー
ええ、どうぞ。
エミリー
……?
真壁瑞希
どうしました?先ほどから挙動が不審ですが。
エミリー
確か、初めてお会いする方には専用の挨拶があったはずなんですが……。
真壁瑞希
おかまいなく、会話を交わせば既に友達みたいなところありますし。
エミリー
そうなのですか、それはなにより。
エミリー
ですが、友人に会った時の挨拶はどうすれば……
真壁瑞希
そんな事より、ずっと海を見つめてますが、何か御用ですか?あ、最近流行りの海女さん志望?
エミリー
ええ、きっと。私は海に大切な用事があったはずなんです。ですが……
エミリー
それが一体なんだったのか、思い出せなくて……何故、こんなに海にひかれているのか。
エミリー
気付いたらこの街にいて、自分が誰なのかもわからなくて、海に来れば思い出すかと……
エミリー
ですが、やっぱり何も思い出せませんでした。
エミリー
ただ、一つだけ感じているんでです。
真壁瑞希
と、言うと?
エミリー
私が海を見ることで、とても大切な事があった事を、感じられます。
真壁瑞希
……なんだか曖昧ですね。自分が何者か分からないのは、不安でしょうね。
真壁瑞希
だって、今のあなたの中身は殆ど抜けちゃってると言う事でしょう。
エミリー
いいえ、確かに色々分からないことだらけなのは不便ですが……。
エミリー
私は、私が大切な物があったという事を、大切な記憶があったという事を、
エミリー
ちゃんと中身が詰まっていたと言うことを、知っているからです。
エミリー
思い出が無いのは、確かに心細いのかも知れませんが、それを持っていたということは……
エミリー
とても、心強いです。
真壁瑞希
……へーえ。色んな考え方の人がいるもんですね。
エミリー
ただ、もう一つだけ分かっている事があります。
真壁瑞希
結構分かってる事多いじゃないですか。
エミリー
私、どうやら過去があったのと同じくらい、未来が無い様なのです。
エミリー
きっと、もうすぐ過去さえも無くなってしまうでしょう。そうなったら一体何が残るのか……
真壁瑞希
……あ、記憶喪失を良い事に良い事思いつきました。
真壁瑞希
実は私、あなたの無二の親友だったのです。過去では仲睦まじく暮らしていました。
エミリー
あら、本当にお友達だったんですね。それなら昔の私の事、何か教えてくれますか?
真壁瑞希
……とっても、優しい子でした。記憶を失くした今と同じくらい、世界で一番優しい子でした。
エミリー
……そうですか、私は今でも私なんですね。それが知れて良かったです。あと、もう一つ。
エミリー
良ければ私の名前、教えてくださいますか。
真壁瑞希
お安い御用です。あなたの名前は、その可愛らしい笑顔から……
真壁瑞希
エミズキ。
エミリー
……しっくりきません。
真壁瑞希
まあしっくりこられても困りますけどね。
エミリー
あら、どうしてか……急に眠くなってきたようで。
真壁瑞希
……人と話てるというのに。ぷんぷん。でも親友ですから肩かしてあげます。さあもたれなさい。
エミリー
それではお言葉に甘えて。あの親友さん、ここまで色々していただいて……
エミリー
もう、お礼の言葉まで出てこなくなりました。ひとまず、おやすみなさい。
真壁瑞希
良いですよ、伝わってます。私も嬉しいです。あなたに逢えて、本当に良かった。
真壁瑞希
初めて逢った時から、優しいあなたが大好きでした。ずっとずっと、忘れません。
真壁瑞希
おやすみなさい。あなたは本当にがんばった。
真壁瑞希
ばいばい。
真壁瑞希
ばいばい。おつかれさま。
(台詞数: 50)