横山奈緒
……相変わらず小鳥もヌケサクなところが有るなあ。サンドイッチを星型にするのはエエけど……
横山奈緒
切り落としたパンの端っこ、ムダになるやん。……まあ、あの後私と貴音が美味しく頂いたけど。
エミリー
あ、こんばんは奈緒さん。ご機嫌よろしいようですね。
横山奈緒
そやね!美味しいモン食べたからな。……エミリーもそんな服で、何か作っとったんか。
エミリー
ええ、恥ずかしながら……七夕の趣きが出ればと、ちらし寿司を作ってみたのですが……
横山奈緒
おー、それも美味しそうやなあ。ちょっと食べさせてもらうわ……
横山奈緒
…………
横山奈緒
………………
エミリー
い、いかがでしょうか?
横山奈緒
何ちゅうか……味が薄すぎてよぅ分からんわ。酢飯かどうかもぼやけとるし、具もイマイチ……
エミリー
……そうですか。私もまだまだ精進が足りないようです。七夕に願いの短冊も提げたのですが……
横山奈緒
ああ、あったあった。『料理の腕が上がりますように』って、やたら達筆な短冊が。
横山奈緒
でも意外やな。いろいろ修行してるエミリーが、料理は苦手なんて……
エミリー
私の故郷は、かつて産業革命が起きたとき農業が衰退したそうで……食材の多彩さが無くなり、
エミリー
その結果、伝統料理が衰退し、料理全般の文化が貧相になったと聞きます。
横山奈緒
バアチャンが料理下手なら、お母さんも下手になるし、娘も下手になるってことなんかなあ。
エミリー
せめて自らの舌で経験を積もうと、日本の美味しいものをたくさん頂くようにしているのですが。
横山奈緒
(そういやエミリー、イメージと違って結構食い道楽しとるなあ。和菓子もよく食べとるし……
横山奈緒
名古屋の小倉トーストや味噌煮込みや、ういろうが美味しかったって言うとったし。)
横山奈緒
(味付け濃いのが合っとるんかなあ……それも味覚に自信無い現れかも。)
横山奈緒
あれ?でも何時ぞやの学園ドラマのとき、蕎麦作っとったやん?料理できるんちゃうの?
エミリー
あの時は、既製品の麺を湯がいて、出来合いの汁に入れてました……なんとも至らない話ですが。
横山奈緒
……よっしゃ。それなら私がひとつ料理を教えたるわ!私の得意料理をね。
エミリー
まあ、ありがとうございます奈緒さん!
エミリー
……
エミリー
……奈緒さんのお得意なのって……お好み焼き、ですか?
横山奈緒
そうやで!小学生の頃から家で焼いてたから、ひっくり返すのも様になっとるやろ。
エミリー
……ええと、確かに美味しそうですが。何と申しますか……
横山奈緒
あ〜っ!エミリー、寿司やテンプラや、湯豆腐みたいなんだけが『日本料理』と思うとるな!
横山奈緒
日本には美味しいモンが沢山有るんやで。お好みもタコ焼きも、肉まんもアンパンも日本料理や。
エミリー
……いささか、強引な気もしますが……
横山奈緒
でもって、七夕の今日は特別な仕上げをするで。まずは真ん丸のお好みを、半分に切って……
エミリー
満月が半月になりましたが……特に七夕らしいとは思えませんけど……
横山奈緒
慌てなさんなって。それぞれをピザみたいに五つに切り分けて……尖った方を外側に並べると!
エミリー
……まあ!お星様型になりました!
横山奈緒
二つ並べて、織姫と彦星のお好みやで!どや、これなら七夕らしいやろ。
エミリー
はい。私、感激しました!これも日本の美のひとつ、『見立て』なのですね!
横山奈緒
……いや、そこまで感動されるとかえって気恥ずかしいけどな。それじゃあ、食べよか?
エミリー
それでは、お好み用のタレと、卵黄と酢の和えタレを掛けまして……
横山奈緒
って、エミリータンマ!そんなにソースとマヨネーズ掛けたら、生地の味がしなくなるって!
(台詞数: 40)