約束のファンタジア・プロローグ
BGM
絵本
脚本家
不明
投稿日時
2017-09-27 11:13:02

脚本家コメント
『終戦の歌姫伝説』

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矢吹可奈
《ーーー200年前にこの大陸で発生した、人間と魔族間の大戦争『地天戦争』》
矢吹可奈
《元々は小さな集落同士の水源争いに端を発した物だが、その戦火は日に日に拡大》
矢吹可奈
《いつしか大陸全土を巻き込んだ大戦争へと発展していった》
矢吹可奈
《この戦争は20年以上も続き、終わりの見えない戦火は、住まう者の心や自然を荒ませていった》
矢吹可奈
《そして178年前…両軍は広大な平原を舞台に、ついに最終決戦を展開した》
矢吹可奈
《しかし、両軍あわや激突という時、平原を見下ろす丘の上から歌声が響いた》
矢吹可奈
《見れば、一組の人間の少女と魔族の少女が手を繋ぎ、平和への願いを込めた歌を奏でていた》
矢吹可奈
《戦場全体を包み込んだ優しい歌声と、異なる種族ながら手を取り合う少女達の姿》
矢吹可奈
《その光景に戦意を喪失した兵士達は、一人また一人と武器を捨てて戦いを放棄した》
矢吹可奈
《そして、この結果を受けた両軍首脳は、再び平和を模索すべく講和へと動く》
矢吹可奈
《それ以後、人間と魔族は、ある時は共に生き、ある時は距離を取って暮らし…》
矢吹可奈
《戦争と呼べるような物を起こす事無く、今日に至る》
矢吹可奈
《そして、戦闘を中止させた2人の少女は、『終戦の歌姫』という伝説として語り継がれている》
矢吹可奈
…はあぁぁぁ~~~…何度読んでも良いお話だなぁ…♪
北沢志保
…あ、いた。カナ、借りてく本決まった?
矢吹可奈
あっ、シホちゃん!うん、これ!
北沢志保
またそれ?本当に好きなのね、『終戦の歌姫伝説』
矢吹可奈
だって、すっごく良いお話なんだもん!
北沢志保
…まぁ、私も嫌いじゃないけどね…歌声で戦争を終わらせるなんてロマンチックだし
北沢志保
…さて、借りる本が決まったなら、早く借りて買い物の続きに行かないと
矢吹可奈
え?もう?
北沢志保
もう?じゃないわよ…見なさい、もう日が傾き始めてるでしょう?
矢吹可奈
はれっ!?いつのまに!?
北沢志保
早くシスターに頼まれた買い物を済ませないと、夕食に間に合わないわ
矢吹可奈
ごっ、ごごごごめんシホちゃん!すぐ行くね!
北沢志保
はいはい……………ふふっ…
北沢志保
《本を持って転がるように走るカナを見て、私の頬は自然と緩む》
北沢志保
《夕食に間に合わない…というのは少し大袈裟だったかもしれない》
北沢志保
《本当のところは、パン屋さんに寄るだけだから、大して時間は掛からないのだ》
北沢志保
《ちょっとした悪戯心が満足した頃、カナが息を切らせて駆け戻り、私達は一緒に外へ出た》
矢吹可奈
…えへへ、サービスしてもらっちゃったね♪
北沢志保
ええ、ありがたい事だわ
北沢志保
《カナの言葉通り、彼女が持つパン屋さんの紙袋は、いつもよりも少し膨らんでいる》
北沢志保
《私達の暮らす教会のシスターが、いつも村の人々を治療しているお礼…らしい》
矢吹可奈
すぅ~~~…はあぁぁぁ~~~…いい匂い~…あのおじさんの焼くパンの匂い大好き~♪
北沢志保
《…が、たぶん理由の半分くらいはカナのこの無邪気な笑顔だろう》
北沢志保
《…この愛嬌のある笑顔…周囲が甘やかしたくなる気持ちはとても良く分かる》
北沢志保
…さ、買い物も終わったし、帰りましょうかカナ…カナ?
北沢志保
《カナが隣にいない事に気付いて振り向くと、カナは少し後ろで立ち止まっていた》
北沢志保
《彼女の視線を追うと、一組の親子が仲良く談笑しながら歩いていた》
矢吹可奈
………
北沢志保
《…ああ、またあの顔だ…普段明るいカナが見せる寂しげな表情が私の心までも突き刺す》
北沢志保
《物心つく前に森に捨てられていたカナにとって、あのような親子は眩しくて仕方ないのだろう》
北沢志保
…カナ…
矢吹可奈
…あっ!ご、ごめんねシホちゃん!うん、帰ろ!かーえろ♪かーえろ♪おうちへごー♪
北沢志保
《私の視線に気付いたのか、カナは大仰に手を振って歩き出す…暗い気持ちを吹き飛ばすように》
矢吹可奈
シホちゃーん、はやくはやくー!
北沢志保
…ええ、今行くわ
北沢志保
《…自分の心を抑え込むようなその振る舞いが、かえって痛々しい》
北沢志保
………神様…もし貴方が本当にいるのなら…あの子を…カナを…幸せにしてあげてください…

(台詞数: 50)