北沢志保
………。
矢吹可奈
………。
矢吹可奈
(…き、気まずい…。何から話せばいいのか、全然わかんないや…。)
矢吹可奈
(でも、まずは謝らないと…。私のせいで、みんなを…。)
北沢志保
ねえ…可奈…。1つ聞いてもいい?
矢吹可奈
えっ…?う、うん…。何…?
北沢志保
可奈は、「何の為にアイドルをやってる」の?
北沢志保
「誰の為にアイドルをやろうと思う」の…?答えて…。
矢吹可奈
わ、私は…。
矢吹可奈
みんなに歌を聴いてほしいから…。でも、それ以上に、みんなと一緒にいたいから…!
矢吹可奈
みんなの為に…。私の歌で、みんなを勇気づけられるように…って…。
北沢志保
ふうん…。「みんなの為に」…か…。思った通りの回答ね。
北沢志保
可奈。私はその答えが間違いだとは思わない。でも、それだけじゃ足りないと思う。
矢吹可奈
どういうこと…?志保ちゃん…。
北沢志保
可奈は、きっとこう思ってる。「私の歌で、みんなが幸せになれれば良いな…。」ってね。
矢吹可奈
だって、みんなに笑顔でいてほしいから…。
北沢志保
そうでしょうね。でも、「可奈自身の幸せ」は、それで掴めるものなの?
矢吹可奈
えっ…?
北沢志保
可奈は、「他人を喜ばせること」しか頭にない。それ以外のことは、まるで考えてないわ。
北沢志保
「みんなが、今以上に歌で笑顔になるためには、とにかく高い技術を修得していくしかない…。」
北沢志保
「だから無茶を重ねてでも、歌おうとする…。」それって、本当にあなたが望んでいた歌い方なの?
矢吹可奈
それは…。でも、私はみんなと比べて、上達も遅かったし…。
北沢志保
違うわ。可奈は、結果を求めようという気持ちがはやって、「歌を楽しむ気持ち」を忘れてるの。
北沢志保
そんな人が、他人を感動させられるような歌を歌えると思うかしら?
矢吹可奈
…。
北沢志保
初めて出逢ったころの可奈は、もっと純粋に歌うことを楽しんでた…。私は、よく覚えてるわよ。
北沢志保
お世辞にも上手いとは言えなかったけど…。それでも、他人を惹き付ける何かがあった。
北沢志保
けれど今は、技術にとらわれて、歌う目的までも曖昧になってる…。
北沢志保
そんなんじゃこれから先、ファンの笑顔はおろか、何も生み出せやしないわよ…。
矢吹可奈
…そっか…。私、いつの間にか歌う意味を見失ってたよ…。
矢吹可奈
「みんなの笑顔のため」…。それだけじゃない…。私、私は…!
矢吹可奈
「私は歌が大好きだから歌うんだ!!!」
北沢志保
ふふっ…。今の笑顔、いつもの元気に溢れた可奈らしかったわよ。その気持ち…絶対忘れないで。
矢吹可奈
うん!私、もう絶対に迷ったりしないから!
北沢志保
可奈。私は、このツアーを断念させるつもりはないわ。4人になっても、必ずやり遂げてみせる。
北沢志保
残るは6都市…。スケジュール上、今の状態の可奈じゃ、ほとんど参加は見込めない…。
北沢志保
けど…最終公演には、きっと間に合わせられるわよね?
矢吹可奈
うん、もちろん!私、みんなと一緒に歌いたいもん…!
矢吹可奈
大好きなみんなと、思いっきり歌いたい!だから、最後は必ず同じステージに立とうね!
北沢志保
うん…。私も待ってるから…。遅れたりしたら、承知しないんだからね?
矢吹可奈
うん!それまでは、みんなのこと、精一杯応援するからね!
北沢志保
ええ。それじゃあ、病人はゆっくりと休んでて。私、今から打ち合わせに行かないと。
矢吹可奈
うん!行ってらっしゃーい、志保ちゃーん!!!
北沢志保
(…良かった…。いつもの可奈の笑顔が戻ってきて…。)
北沢志保
(…私の大切な…大好きな友達の…。)
北沢志保
(…温かくて優しい笑顔が…。この気持ち、忘れずにいなきゃね…。)
(台詞数: 46)