北沢志保
『可奈が歌が鳴る絵本作ったって』
北沢志保
未来からその話を聞いたのは昨日のことだった。
北沢志保
確かに最近、可奈が何かを作ってたのは知っていた。
北沢志保
少し気になってもいたけど、何度聞いても、可奈は何を作ってるのか教えてくれなかった。
北沢志保
「完成したらちゃんと教えるから〜♪」って言ってたから…まあ、あまり期待せずに待っていた。
北沢志保
でもまさか…絵本を作ってたなんて。
北沢志保
随分と熱心に作ってたからてっきり何かの歌だと思ってたのに……まさか、私のために作ったの?
北沢志保
…………。
北沢志保
嫌じゃない。むしろ、私のためだとしたら……だけど。
矢吹可奈
「……♪」
北沢志保
そして今、可奈は私の目の前にいて、その可奈の作った絵本は、私が手に持っていた。
北沢志保
…可奈はニコニコしながら、私がこの絵本を開くのを今か今かと待ちわびてるみたいだった。
北沢志保
……
北沢志保
…昨日、未来に言われたことを思い出してみる。
北沢志保
『可奈が歌が鳴る絵本作ったって』
北沢志保
『可奈が歌が鳴る絵本作ったって。聞いたら翼気絶したけど』
北沢志保
……
北沢志保
…作ってくれたんだもの。読まないわけにはいかないわ。
矢吹可奈
「……♪」
北沢志保
…………。
北沢志保
…………。(ぺらっ)
北沢志保
…………。
北沢志保
(ああ…なるほど。確かにこれは間違いなく…可奈の歌ね)
北沢志保
(…うん、上手くなってる。最初の頃よりはずいぶん上手くなってるけど…これは力が入りすぎね)
北沢志保
(悪くはないけど…今度は誰かと一緒に作った方がいいわね…そっちの方がきっと…上手くいくわ)
北沢志保
(私で良ければ…付き合ってあげるから…だから今度は…もっと良い絵本を作りましょうね…可奈)
北沢志保
……
北沢志保
…薄れていく意識の中、私はそんなことを思っていた。
(台詞数: 28)