
北沢志保
__朝早く…

北沢志保
__比較的温暖なこの辺りでも…

北沢志保
__道の端っこに…

北沢志保
__霜が冬を名残り惜しく…キラキラと踏ん張っている。

北沢志保
志保)ああっ…

北沢志保
志保)ああっ… P)おっと…志保、大丈夫か?

北沢志保
すっ、すみません…

北沢志保
気を付けてはいたのですが…

北沢志保
P)今朝は冷え込んだからなぁ…石畳みに霜が降りてたんだろうな。

北沢志保
そう…みたいですね。

北沢志保
あっ…もう、大丈夫ですから。

北沢志保
__彼岸の入りの前日…

北沢志保
__資材搬入のミスやらで遅れていた仕事が…急遽、翌朝から入ってしまった。

北沢志保
__彼岸と学校が春休みに入ったと言うこともあって…

北沢志保
__父の墓参りの予定していたのだけど…

北沢志保
__早朝迎えに来てくれたプロデューサーさんが、私の事情を知って…

北沢志保
__こうして一緒に付き合って貰った次第…

北沢志保
P)いつもすまんな…

北沢志保
何がですか?

北沢志保
P)仕事の入り方…

北沢志保
P)…いつも唐突で申し訳ないと思っているよ…。

北沢志保
私は気にしていませんよ?

北沢志保
P)ん?

北沢志保
だって…何時も私達の為に、営業で走り廻ってくれているんですから…。

北沢志保
P)うーん…クライアントをもう少し吟味出来ればなぁ…

北沢志保
わっ、私だってまだこれからなんですから…

北沢志保
仕事を選ぶ訳にもいきませんし…

北沢志保
P)ありがとうな…(ギュ…)

北沢志保
__彼は自分のコートの片身頃を私に被せ引き寄せてくれる…///

北沢志保
ちょっ…ちょっとプロデューサーさん///

北沢志保
P)その服だと寒いだろ?

北沢志保
P)車にコートを置いてくるから…見てるこっちが寒くかるぞ?

北沢志保
__確かに寒くはあったけど…

北沢志保
__それを彼に気付かれまいと、必死に寒さに耐えていた。

北沢志保
__でもやっぱり彼には解るみたい。

北沢志保
__P)…ご無沙汰しています。

北沢志保
__目的の場所に着くなり、彼は父の墓前に拝礼と父に一声掛ける…

北沢志保
__彼なりの礼儀なのだろう。

北沢志保
P)…線香は1束あればいいかな? 志保)はい、ありがとうございます。

北沢志保
P)花を持って来れれば良かったのだけど…。 志保)仕方ないですよ。

北沢志保
来れただけで御の字ですし…母も来てくれますから。

北沢志保
P)そっか……まあ、娘さんはこんな感じに良い子に成長してくれてますね。

北沢志保
ちょっとプロデューサーさん…なんですかそれ?(パシパシ!)

北沢志保
P)痛たたた…志保、お父さんが見てるぞ? 志保)知りませんよw

北沢志保
__P)志保…もう一度挨拶して。 志保)お父さん…また来るね。

北沢志保
P)おお…日が差してきた。今日は晴れるといいな? 志保)晴れますよ、きっと…

北沢志保
P)朝飯まだだろ?…近くに朝早くからモーニングサービスしている喫茶店があるんだ。

北沢志保
__さっき、足を取られた霜はもう溶けただろうか…。

北沢志保
__彼に助け掴まれた二の腕の痕を撫でながら。

北沢志保
__私を呼ぶ彼の元へ石畳を小走りに歩み進めた。
(台詞数: 50)