北沢志保
降りしきる雪。吹き止まぬ風。真暗の空。
北沢志保
ここはどこ?……問うまでもない。
北沢志保
ここは私の心象。心の風景。
北沢志保
ふと、積もった雪を手に取る。
北沢志保
雪はサラサラと砂のように崩れ、風に吹かれた
北沢志保
……灰だ。
北沢志保
雪じゃない。積もっているものも、降り続けているものも全て、真白な灰。
北沢志保
なんて酷い風景なんだろう。星の1つも見えない漆黒の空に、嵐の中で降りしきる灰の雪。
北沢志保
これが私の心象なら、この灰は何なのか。
北沢志保
答えは分かっている。
北沢志保
これはかつて私が信じたもの、想い……その全てが燃え尽きたもの。
北沢志保
裏切り、裏切られ、不要だと切り捨ててきたもの。
北沢志保
中には守りたいと思っていたものもあるかもしれない。
北沢志保
それも今はこうして……降り積もった灰の一部。
北沢志保
別に後悔しているとか、そんなことではない。
北沢志保
捨てるべきだったから捨てたのであって、泣く泣く手放したわけじゃない。
北沢志保
それに、私は今までこうすることで強くなってきたのだから。
北沢志保
強くなるために弱さを切り捨てるのは当然のことだろう。
北沢志保
だけど……悲しくないといえば、嘘になる。
北沢志保
私はこんなにも多くのものを切り捨ててきたのか。
北沢志保
もう一度かき集め、火を灯すことは叶わないのか。
北沢志保
これからも……この灰の雪は降り積もっていくのか。
北沢志保
「志保ちゃん」
北沢志保
誰かに呼ばれた気がした
北沢志保
振り返ると、1人の女の子がこっちに駆け寄ってきた
北沢志保
オレンジの髪をした、ドジで、失敗ばかりで、底抜けに明るくて、私とは対極な性格で…
北沢志保
……正直苦手な子だ。だけど……
北沢志保
熱を感じた。
北沢志保
見回すと、灰の雪が所々で火を灯し、燃え上がっている。
北沢志保
捨てたはずの想いが、再び燃え上がっている。
北沢志保
ああ、だから私は貴女を……
北沢志保
彼女が勢いよく抱きついてくる
北沢志保
「何よ、急に抱きついてきて。もう……」
北沢志保
決まり文句のように、嫌がってる様な言葉を口にする。
北沢志保
想いの火は、暖かく燃え続けていた
(台詞数: 35)