北沢志保
窓を閉める。
北沢志保
消えていく光を見送って電気を消す。
北沢志保
そして、あの雪の日と同じ。
北沢志保
車の騒がしい排気音と。
北沢志保
真白の雪が惨たらしく染まる記憶。
北沢志保
それらが何度も反芻してくるから。
北沢志保
自分を貶めてみる。
北沢志保
このまま目覚めませんようにって。
北沢志保
贖罪を求め、祈って。
北沢志保
いつもと同じように。
北沢志保
泥のように眠りに落ちる。
北沢志保
……。
北沢志保
つもりだった。
北沢志保
それは──。
北沢志保
本当に唐突で。
北沢志保
本当に些細な変化。
北沢志保
小さな、小さな。
北沢志保
鼓動。
北沢志保
────
北沢志保
ねえ、聞いて?
北沢志保
立ち止まってばかりいたのは、ね。
北沢志保
その季節に、あなたが居たから。
北沢志保
冬の寒さは胸が痛くなる。
北沢志保
皮肉なものね。
北沢志保
その痛みこそ、あなたを思い出す術だった。
北沢志保
声や服装、寝癖姿まで鮮明に。
北沢志保
今までは振り返ってばかりの季節。
北沢志保
でも、それも終わりみたい。
北沢志保
ねえ、聞いて?
北沢志保
あなたの遺したものが、私の中にあるらしいわ。
北沢志保
今、私の中で生きてるって。
北沢志保
頑張れって、言われたわ。
北沢志保
だから、ごめんなさい。
北沢志保
私は、まだ生きなきゃいけない。
北沢志保
さよならは言わないわ。
北沢志保
あなたと同じで口下手なこと。
北沢志保
あなたも知ってるでしょ?
北沢志保
言うのなら。
北沢志保
おやすみなさい。
北沢志保
雪の日は、幸せでした。
北沢志保
そう言えるように、努めてみせるから。
(台詞数: 41)