北沢志保
どうも
北沢志保
新春の初競りで
北沢志保
4730万円で競り落とされました
北沢志保
北沢志保です
矢吹可奈
どうも
矢吹可奈
新春の初競りで
矢吹可奈
志保ちゃんを4730万円で競り落としました
矢吹可奈
「志保ざんまい」社長の矢吹可奈です。
北沢志保
どうして?
矢吹可奈
そりゃだって
矢吹可奈
「お客様に!おいしい志保ちやんを味わってもらいたい!」
矢吹可奈
これが我社のモットーなので
北沢志保
そ
矢吹可奈
さあさ、お客様が待ってるよぉ!
北沢志保
……私、解体されるの?
矢吹可奈
まさか!志保ちやんに傷をつけるなんてトンデモナイ!
矢吹可奈
とにかく、ここに乗って
北沢志保
(私は大きな円形の板に乗ってベルトコンベアを流れていく)
北沢志保
(回転寿司にでもなった気分)
北沢志保
(ベルトコンベアの先には……老夫婦が座っていた)
北沢志保
(おじいさんの肩をおばあさんが一生懸命マッサージしている)
北沢志保
(辛そうだ……)
北沢志保
(私は代わりに、おじいさんの肩を揉んであげた)
北沢志保
(ついでにおばあさんの肩も揉んであげた)
北沢志保
(2人とも、喜んでくれたみたい)
北沢志保
よかった
北沢志保
(再びベルトコンベアに乗る)
北沢志保
(カタカタと暗いトンネルの中を通る)
北沢志保
(その出口には、小さな男の子がいた)
北沢志保
(「絵本を読んで」とせがまれる)
北沢志保
(……これは、うちにもあるやつだ。何度弟に読んであげた事か)
北沢志保
(さあ?ライオンくんはどうしたと思う?……そうね?それはいい考えね)
北沢志保
(1冊読み終えると、「ありがとう」と言い、男の子は満足そうに去って行った)
北沢志保
あの、……私も、ありがとう
北沢志保
(再びベルトコンベアを流れる)
北沢志保
(緩やかなカーブを描くその先に、1人の青年が立っていた)
北沢志保
(緊張した面持ちで、手を差し出している)
北沢志保
握手?
北沢志保
(断る理由もないので、手を握る)
北沢志保
(青年は照れくさそうにしながらも、とても嬉しそうに笑ってくれた)
北沢志保
(私もすこし、嬉しくなった)
北沢志保
(青年が手を離すと、再びベルトコンベアは動き出す)
北沢志保
(さらにカーブを描きながら進んでいく……その先に)
北沢志保
(可奈がいた)
矢吹可奈
おかえり!……志保ちゃん!
北沢志保
どうしたの急に抱きついて来て……
木下ひなた
さあさ、お客様が待ってるよぉ!
北沢志保
(動き続けるベルトコンベア。その先には幕があった)
矢吹可奈
……行こう、志保ちゃん。
北沢志保
(今、幕が上がる……)
(台詞数: 50)