繋いだ手は…(前編)
BGM
TOWN_RMX
脚本家
ヒデ
投稿日時
2016-12-05 10:07:25

脚本家コメント
久しぶりにホラーでも…
【閲覧注意】不快な表現、描写があります。

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矢吹可奈
「志保ちゃ〜ん、怖いよ〜」
北沢志保
「だ、大丈夫よ。ほら、手を出しなさい」
矢吹可奈
(ギュッ)「えへへ、志保ちゃんの手、暖か〜い」
北沢志保
「はいはい。それより早く見つけて帰るわよ」
矢吹可奈
「はーい♪」
北沢志保
今、私は可奈と廃ホテルに来ている。何故こうなったかと言うと…
北沢志保
日曜日の今日、私はオフだった。朝からスマホの調子が悪かったけど弟と遊園地に行く約束だった
北沢志保
のでそのまま出掛け夕方まで遊んだ。弟がもの凄く喜んだので行って良かったと思う。
北沢志保
そして家に着くとほぼ同時ぐらいに私のスマホが鳴った。相手は可奈だ。
矢吹可奈
「志保ちゃん、忘れ物しちゃったから取りに行きたいんだけど…付いて来て〜」
北沢志保
可奈は今日、ドラマのロケがあったがどうやら現場に忘れ物をしたらしい。
北沢志保
もう外はかなり暗い。明日にしたら?と言ってみたが…
矢吹可奈
「大事なものだからどうしても今日が良いんだよ〜。お願い、志保ちゃ〜ん」
北沢志保
結局、可奈に押し切られる形になり待ち合わせ場所で合流しやって来たのがこの廃ホテルである。
北沢志保
可奈が出演したのはホラードラマでありこの廃ホテルで撮影をしたらしい。
北沢志保
ちなみに可奈が演じたのは恐怖のあまり逃げ出して階段を踏み外し転落死する役だそうだ。
北沢志保
なんか納得。
北沢志保
さて、私としてもいつまでもこんな所にいたくない。
北沢志保
「で、どこに忘れ物したか分かってるの?」
矢吹可奈
「うーん、どこだろう…ホテル内かな?もしかしたら崖の方かも…」
北沢志保
「崖?崖があるの?」
矢吹可奈
「ここ、崖に隣接して建ってるそうでね…営業中に宿泊客が転落して遺体が崖で発見されたとか…」
北沢志保
「…それが潰れた原因かしら?しかし何でこんな所に建てたのやら…」
矢吹可奈
「とにかくどこにあるのか分からないんだよね…ごめんね、志保ちゃん」
北沢志保
「はぁ、仕方ないわ。1階からしらみ潰しに探すわよ」
矢吹可奈
「はーい!」
北沢志保
「ところで、何を忘れたの?それを聞いていなかったけど…」
矢吹可奈
「内緒。一目見れば私のだって分かるものだよ」
北沢志保
「何よそれ…」
矢吹可奈
「割と大きいからあればすぐ分かるよ」
北沢志保
「まぁいいわ。ほら、さっさと行くわよ。早く帰りたいんだから」
矢吹可奈
「…は〜い」
北沢志保
(それなりに時間が経過)「探しながら上に来たけど…ホテルの備品が散乱してただけね」
矢吹可奈
「…もう最上階だね。ここにあるのかな?」
北沢志保
「でもここも他の階とあまり変わらないような…あら?」
北沢志保
窓の外…崖がよく見えるわね。他の階ではあまり見えなかったけど。ん?何か動いてる…⁉︎
北沢志保
カラス?カラスの群れがいっぱい。何かに群がって…何かをついばんでいる⁉︎
北沢志保
「可奈、下の階に降りるわよ。急いで!」
北沢志保
私は可奈の手を引っ張り1階ロビーに降りた。そしてかつてスタッフルームだった部屋に駆け込む。
北沢志保
位置的にここの窓からさっきの場所が良く見えると思ったからだ。そして目に飛び込んだものは…
北沢志保
「嘘…」
北沢志保
人の死体に群がるカラス達。大量のカラスが死体をついばんで喰らっていた。
北沢志保
1羽のカラスが咥えていたものをブチュリと潰し飲み込んだ。おそらく…眼球。
北沢志保
ズタズタにされた身体の上で複数のカラスが取り合っているのは腸かな?とにかく内臓だろう…
北沢志保
しかし私が嘘と言ったのはそんな凄惨な光景を見たからじゃない。その死体を見たからだ。
北沢志保
どんなに変わり果てた姿になっていても私が彼女を見間違うはずがない。
北沢志保
では私の横にいるのは…ずっと手を繋いでいる彼女は一体?
北沢志保
恐る恐る振り返ってみる。
北沢志保
可奈がいた。
北沢志保
可奈がいた。…この世の者とは思えない笑顔を浮かべて。

(台詞数: 50)