矢吹可奈
「おでかけ〜♪おでかけ〜♪ 久しぶりに志保ちゃんと〜♪嬉しいかな〜♪嬉しい可奈〜♪」
北沢志保
「こら可奈。…あんまりはしゃぎ回ると転ぶわよ。嬉しいのは分かるけど、少し落ち着きなさい」
矢吹可奈
「えへへっ…ごめんごめん。でも、ほんとに久しぶりだよね。最近志保ちゃん、忙しかったから」
北沢志保
「それは可奈だって同じでしょ? …けどまあ、これからは少し落ち着くんだから…いいじゃない」
矢吹可奈
「えっ? そうなの?」
北沢志保
「…プロデューサーから聞いてないの?」
矢吹可奈
「プ、プロデューサーさんとは最近会えてないから。お互い忙しいし、予定もあわなくて…えへへ」
北沢志保
「…プロデューサーさんは何やってるのよ。忙しくても、ちょっと会うぐらいはできるでしょ」
矢吹可奈
「そ、それはそうかもしれないけど…私のせいで、プロデューサーさんに迷惑かけたくないから…」
北沢志保
「…そんなの気にしちゃだめよ。それで可奈は、ほんとにプロデューサーさんと付き合ってるーー」
矢吹可奈
「ちょ、ちょっと志保ちゃん⁉︎」
北沢志保
「…口が滑ったわ」
矢吹可奈
「き、気をつけてよ…。いくら街中とはいえ、どこで誰が聞いてるか分からないんだから…」
北沢志保
「ごめんなさい。…けど、可奈はいいの? プロデューサーさんと会えなくて…寂しくないの?」
矢吹可奈
「…正直言えば寂しいけど、まったく会えないってわけじゃないから。連絡も毎日とってるし!」
北沢志保
「でも…」
矢吹可奈
「それにね…久しぶりに会えた時は…その、会えなかった分まで…あ、愛してもらえたから…」
北沢志保
「…それって」
矢吹可奈
「うん…志保ちゃんのご想像通り」
北沢志保
「…………」
矢吹可奈
「そ、そういうことだから私は全然大丈夫だよ! だから志保ちゃんもそんな顔しないで!」
矢吹可奈
「そ、そういうことだから私は全然大丈夫だよ! だから志保ちゃんもそんな顔しないで!…うっ」
北沢志保
「! ちょ、ちょっと大丈夫⁉︎」
矢吹可奈
「だ、だいじょうぶ…ちょっと気持ち悪くなっただけだから。…最近、こういうこと多いんだよね」
北沢志保
「…………」
矢吹可奈
「仕事続きだったから疲れてるのかも……うん、もう大丈夫。心配かけちゃったね、志保ちゃん」
北沢志保
「…ほんとに大丈夫? きついんだったら今日は帰って、家でゆっくりしてたほうがいいんじゃ…」
矢吹可奈
「そんなのダメだよ!久しぶりに志保ちゃんとのおでかけなんだから!ほら、早く行こっ! 」
北沢志保
「あっ…」
矢吹可奈
「おっでかけ〜♪ おっでかけ〜♪ 志保ちゃんと一緒に〜♪ おっでかけ〜♪ 手を繋いで〜♪」
北沢志保
「…………」
北沢志保
…………。
北沢志保
可奈は今
北沢志保
可奈は今妊娠している。
北沢志保
プロデューサーさんと可奈が…男女の仲で付き合っていることは、前々からよく知っていた。
北沢志保
このことは私しか知らない。可奈と仲が良くプロデューサーさんと色々あった私しか知らなかった。
北沢志保
色々複雑な気持ちはあったけど、私は親友として祝福した。2人には幸せになってほしかったから。
北沢志保
けど、さすがにこれはないだろう。
北沢志保
今からほんの少し前。プロデューサーさんと2人だけだった時に、私はそのことを聞かされた。
北沢志保
私はありったけ罵倒し、叩き、プロデューサーさんは何度も何度も謝ってきた。許せなかった。
北沢志保
…可奈は妊娠したことに気づいてないらしい。プロデューサーさんもまだ、話してないらしい。
北沢志保
「…………」
北沢志保
アイドルとプロデューサーが付き合ってる。それだけでも十分スキャンダルなのに…妊娠なんて。
矢吹可奈
「志保ちゃん? どうかしたの?」
北沢志保
「えっ? あっ……何でも、ないわ。…それより可奈、今日はいったいどこに行くつもりなのよ?」
矢吹可奈
「えへへ…実はこの前ね、すごく良いお店見つけたんだ。きっと志保ちゃんも気にいると思うよ」
北沢志保
…私はどうしたらいいんだろう。可奈のこの笑顔を守るために、私はどうしたらいいんだろう。
北沢志保
…分からない。いったい何をしたら一番いいのか。いったい何をしたら…2人のためになるのか。
北沢志保
私は…
北沢志保
私は…どうしたらいいんだろう。
(台詞数: 50)