四条貴音
こんばんは千早。お早いのですね。
如月千早
こんばんは…四条さんこそ。私もかなり早く出てきたつもりでしたけど。
四条貴音
ふふ、この日が楽しみで居ても立っても居られなかったのです。
四条貴音
夏休みに皆で共通の思い出を作る……真、素晴らしい試みです。
如月千早
春香の案なんです。少ない夏休みの中で少しでも皆で過ごそうって。
四条貴音
ふふ、春香らしいですね。
如月千早
そう言えば、まだ誰も来ていないんですか?
四条貴音
ええ、千早が最初で…
四条貴音
……?
四条貴音
その子はお知り合いですか?
如月千早
…え?
如月千早
……!い、いえ…。
四条貴音
ならば、迷子でしょうか。
如月千早
そう…みたいですね…。迷子センターに行かないと…。
四条貴音
しかし斯様に小さき身では、人混みの中を進むのも困難でしょう。
如月千早
じゃあ、私が連れて行きます。
四条貴音
……。
如月千早
……どうかしました?
四条貴音
いえ、何でもありません。私も共に行きましょう。
四条貴音
……………………………。
四条貴音
真、屋台で買う食べ物とは不思議な物です。
四条貴音
いつにも増して食が進む気がします。そう思いませんか?
如月千早
……。
四条貴音
……その子、千早の事が大層気になっているようですね。
四条貴音
色とりどりの景色に目もくれず、あなたの姿ばかり見ています。
四条貴音
……まるで焼き付けるかのように。
如月千早
……。
四条貴音
しかし、残念ながらここでお別れのようです。
如月千早
……え?
四条貴音
この鳥居の先が『迷子せんたあ』らしいですね。
如月千早
え、ああ…そうでしたね…。
四条貴音
千早、その手を離さないとその子は帰れませんよ。
如月千早
……。
如月千早
…………あの。
如月千早
ひとりで、行ける?……係りの人にちゃんと聞ける?
如月千早
もし…もしも不安なら、お姉ちゃんも一緒に…。
四条貴音
千早、それは…
如月千早
……ごめんなさい、何でもない。
如月千早
いってらっしゃい……。
四条貴音
……行ってしまいましたね。大丈夫ですか?千早。
如月千早
……四条さん。あの子、ずっと悲しそうな顔をしていました。
如月千早
でも、最期だけ…最期だけは笑ってくれたんです。
如月千早
小さな声で…お姉ちゃんありがとう…って、言って…くれたんです。
如月千早
なのに…なのに私、泣きそうな顔で…見送る事しか…出来なくて……。
四条貴音
……これも何かの縁なのかもしれませんね。
如月千早
縁……?
四条貴音
ええ。千早にとっての縁は、こう願ったのではないでしょうか。
四条貴音
今日は縁日。皆で共に笑いましょう…と。
如月千早
……流石に夢物語が過ぎるかと思いますが…。
如月千早
でも…でも、もしそうであったなら……素敵な事ですね。
(台詞数: 50)