矢吹可奈
ん?明かりがついてる…。誰かいるのかな?
矢吹可奈
あ……志保ちゃん…。
北沢志保
………。
矢吹可奈
(今日、オーディションがあったんです。ミュージカルの主役を決める。)
矢吹可奈
(志保ちゃんが尊敬する役者さんが出るからって、毎日必死に練習してました。)
矢吹可奈
(でも、結果はダメだったらしくって…。)
北沢志保
っ!?可奈!?いるなら言いなさいよ!びっくりするじゃない!
矢吹可奈
あ、ご、ごめん…。明かりがついてたから、誰かいるのかなって思って…。
北沢志保
そ、そうなの…。あのね、可奈…。えっとその、オーディション。ダメ、だった…。
北沢志保
ごめんね。練習、沢山付き合ってもらったのに…。
矢吹可奈
うぅん。大丈夫。
北沢志保
やっぱり本物の役者さんはすごいわ。見ててこれはダメだって思っちゃった。
北沢志保
私なんかとは比べものにならなかったわ。レベル高くてびっくりしちゃった。
北沢志保
私と同い年くらいの子もいたんだけど、凄かったわ。可奈にも見せてあげたいくらい。
北沢志保
私が受かるんだ!って思ってたのがちょっとだけ恥ずかしくなっちゃった…。
北沢志保
やっぱりもっと練習しなきゃダメよね。今よりもっともっと頑張って……。
北沢志保
頑張って…。……………。
矢吹可奈
志保ちゃん。私、見てたよ。志保ちゃんが一生懸命頑張ってるの、一番近くで見てたから。
矢吹可奈
だからわかるの。悔しいよね。本当に一生懸命やったから、悔しいんだよね。
矢吹可奈
いいよ、無理しなくて。そういう時志保ちゃん、早口になって沢山喋るからわかっちゃうよ。
北沢志保
………うん…。…悔しいっ。悔しいよ…!私、本気で全部ぶつけたの…。
北沢志保
それでもダメだったの…!悔しい…!何が足りなかったんだろう…。
北沢志保
私、負けてないって思ったの…!合格できるって、思ってたの…!
北沢志保
だからっ…!悔しい…!うぅ…!悔しいよぉ…っ。可奈ぁ…。
矢吹可奈
そうだよね…。私も一緒に頑張ってるつもりだったから…わかるよ。志保ちゃん。
矢吹可奈
だから今はいいよ。私しか見てないから。
北沢志保
ごめん…ごめんねっ。ありがとう。こんな私、ダサいよね…。ごめん…っ。
矢吹可奈
ダサくなんてないよ!悔しいのは頑張ったって証拠だもん。だからいいの。
北沢志保
可奈ぁ…。ありがとう…。うわあーん!可奈ぁー!
矢吹可奈
よしよし…。お疲れ様、志保ちゃん…。
矢吹可奈
(数分後…)
矢吹可奈
落ち着いた?
北沢志保
ええ…。情けない所見せちゃったわね…。でもありがとう。泣いたらスッキリしたわ。
矢吹可奈
へへへ。それなら良かった!
北沢志保
可奈のお陰で、次も頑張れそうよ。だからその時は、また練習付き合ってくれる?
矢吹可奈
もちろん!手伝える事は何でもするからね!
矢吹可奈
良かったー!志保ちゃんが元気になって!えっと、あれ……?
北沢志保
可奈…?どうして泣いてるの…?
矢吹可奈
………やっぱり、やっぱり悔しいよーー!!!うわあーーーーん!!
北沢志保
っ!?
矢吹可奈
だってー!志保ちゃん、あんなに頑張ったのにー!すごく素敵な演技だったのにーー!!!
矢吹可奈
えーーーーん!!悔しいよーー!!うわあーーーーーん!!
北沢志保
ちょ、ちょっと!声大きいわよ!外まで聞こえちゃうから……。
矢吹可奈
えーーーーん!えーーーーん!ゲホッッッゲホッッッ!オエッッッッ!
北沢志保
可奈!?
矢吹可奈
志保ちゃーーーん!!!うわあーーーーーん!!
北沢志保
あ、ちょっと馬鹿!服に鼻水つけないでよっ!!
北沢志保
はぁ…。まったく、すぐこれなんだから。もう服はいいから、落ち着いて…。
矢吹可奈
志保ちゃーーーーーん!!うえーーーん!!
北沢志保
まったくもう……。
(台詞数: 50)