北沢志保
『こんなごっこ遊び、何の意味があるんですか!』
豊川風花
『志保ちゃん、気持ちは分かるわ。だけど、可奈ちゃんは待ってるの』
豊川風花
『この場だって、シアターの皆が用意してくれたものよ。それを、どうか無駄にしないで』
北沢志保
『・・・分かりません。どうして、こんな』
北沢志保
『可奈は病気で苦しんでいるのに、私は何もしてあげられない!』
北沢志保
『それなのに、こんな風に可奈に無理をさせて、私の思い出のためだけに結婚式なんて・・』
北沢志保
『私には、出来ないんです』
豊川風花
『志保ちゃんのためだけじゃない!』
豊川風花
『実はね、可奈ちゃんが言い出したの。志保ちゃんと結婚式をしたいって』
北沢志保
『可奈が?』
豊川風花
『ええ。だからね、志保ちゃん。可奈ちゃんを迎えに行ってあげて?』
北沢志保
『っ!』
北沢志保
『シスター、ありがとうございます』
豊川風花
『(志保ちゃんは部屋を飛び出していった。その眼差しは、一途に可奈ちゃんを求めて)』
北沢志保
『可奈!』
矢吹可奈
『ふぇっ?し、志保ちゃん!?』
矢吹可奈
『ま、まだ駄目だよ。ドレスに着替えてる途中だから』
北沢志保
『(更衣用のカーテン越しに声がする。うっすらと綺麗なシルエットが見えた)』
北沢志保
『よかった』
矢吹可奈
『な、何が?』
北沢志保
『可奈のドレス姿を、私が一番に見られるってこと』
矢吹可奈
『う、うん!志保ちゃん、私の花嫁姿、一番に見て!』
矢吹可奈
『それじゃあ、カーテン開けるよ』
北沢志保
『(純白のベールに身を包んだ可奈は、私を見て、ゆっくり恥ずかしそうに笑った)』
北沢志保
『(思わず見惚れた。言葉なんていらなかった。ただ、可奈が綺麗で儚くて、愛しかった)』
矢吹可奈
『ど、どうかな?』
北沢志保
『綺麗よ』
矢吹可奈
『えへへ、ありがとう』
豊川風花
『(式はつつがなく進行した。私は二人の幸せそうな笑顔を一生忘れないだろう)』
(台詞数: 29)