懐疑的方法
BGM
ジレるハートに火をつけて
脚本家
mayoi
投稿日時
2015-11-11 20:52:59

脚本家コメント
麗花さんの言動に困惑する志保ちゃんを
主食に生きていきたい。
間が空いたのでとりあえず更新。
やっつけ気味。

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北沢志保
始めに断っておきたいのだが、これはスマートフォンだ。
北沢志保
大阪万博で初めて日本史に登場し、その後ショルダーホンとして販売された携帯電話。
北沢志保
その後はバッテリーの改良を主な要因として見る見るうちに小型化された。
北沢志保
やがてガラケーと呼ばれる多機能端末を経て、スマートフォンに至る。
北沢志保
この端末にはそのような歴然とした、疑いようのない血統がある。
北沢志保
にも関わらず、だ。
北上麗花
「あ、たまごっちだ〜」
北沢志保
麗花さんはそうぬかしてみせる。
北沢志保
まず考慮しなければならないのは私が寝ぼけている可能性だ。
北沢志保
すぐ人を疑うのはよろしくない、というのが現社会での通説。
北沢志保
自省を怠ればすなわち批判を受け、主張は価値を失う。
北沢志保
私は極めて儀礼的に手元の機械を確かめる。
北沢志保
長方形のフォルム。約5インチのスクリーン。間違いなくスマホだ。
北沢志保
次に考えるのは麗花さんが画面を見間違えた可能性。
北沢志保
近年のおもちゃの進化は目を見張るものがある。たまごっちが丸いとは限らない。
北沢志保
視界の隅では海美さんがファッション雑誌にヨダレを垂らして眠っている。
北沢志保
私はそれと同程度の繊細さでもってディスプレイ内容を改める。
北沢志保
「馬英九 ー Wikipedia」。時事問題対策に少し調べ事をしていた。
北沢志保
台湾のトップをおやじっちと見間違えたとでも言うのか。まさか。
北沢志保
別の可能性。なんだ。
北沢志保
ああ、そうだ。麗花さんが唯心論者である場合。
北沢志保
私が手に持っているスマホ。その存在を認識するのは麗花さんの心だ。
北沢志保
だから麗花さんがそう呼ぶ以上、これはたまごっち以外の何物でもない。
北沢志保
私と麗花さんの間には哲学という深い海溝が、横たわっている。
北沢志保
だが信じて欲しい。これはスマホなのだ。
北沢志保
事務所でたまごっちに興じようものならじきに杏奈がすり寄ってくるはずだ。断じて違う。
北沢志保
そんな願いを込めて、私は麗花さんに返した。
北沢志保
「スマホです」

(台詞数: 28)