Stratosphere:11
BGM
addicted
脚本家
concentration
投稿日時
2015-09-02 08:40:50

脚本家コメント
もう少しで前回から一月空く所だったぜ……。
ゴチャゴチャ読みづらい所は、読み飛ばしてくれても良いんですのよ?
補足:「ニムロデ」は、古代バビロニアの王。バベルの塔を造らせたと云われている。「ニムロッド」は、その英語読み。

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北沢志保
背後には青々とした田園風景が広がり
北沢志保
頭上には轟音を上げながら旋回する輸送機
北沢志保
前方には輸送車、救急車輌の群、群、群。
福田のり子
「いや、この車輌の多さは分かるけどさ……」
福田のり子
「この検問の進みの遅さは何なのさ!緊急事態なんじゃないの!?」
北沢志保
基地の検問に到着してから、待つことかれこれ一時間
北沢志保
確かにテロ警戒レベルは最大であろうが、帰還兵には怪我人だって居るだろうに
北沢志保
この検問の厳重さは異常だ。
横山奈緒
「そんだけナーバスになっとるんやろ。ほれ、公式発表見てみぃや。」
北沢志保
奈緒さんの差し出したタブレットに、防衛省の通達が表示される。
福田のり子
「……撃墜3機、被撃墜21機って、何の冗談さ!?あの無人機相手に?」
北沢志保
のり子さんの素頓狂な声に驚いて、道端の茂みの飛蝗が飛んで逃げる。
北沢志保
「確かに、いくら何でも七倍の被害は多すぎますね」
横山奈緒
「彼方さんだっていつまでもヒヨッ子やないわ。新型機の開発も有りゃAIかて学習するしな」
北沢志保
「今までの相手は、データ収集目的だったと?」
横山奈緒
「有り得る話やろ」
福田のり子
「ちょ、ちょっと待ってよ。テロリストが戦闘機の開発?」
福田のり子
「そんなの国家レベルでも、出来る所は限られるんじゃないの?」
横山奈緒
「金と人がありゃ、出来ん話やないやろ」
北沢志保
「それでもそんなの、大国の国家予算と研究機関でもなければ、無理な話でしょう」
横山奈緒
「国家以外にも有るやろ、そういう所が」
北沢志保
「言わんとする所は分かりますが……」
福田のり子
「志保の言う通りだよ。ほら、そこから声明文出てるよ」
北沢志保
そう言ってのり子さんが見せたタブレットには
北沢志保
【我々ニムロッド・ホールディングスは、今回の作戦の失敗に遺憾の意を表明すると共に】
北沢志保
【忌むべきテロリスト達を殲滅するべく、国連に対しての更なる支援を約束し……】
福田のり子
「武器を売って儲けるならともかく、無償提供した上に設備投資まで支援するってんだから」
福田のり子
「勘繰り過ぎじゃないの?」
北沢志保
多国籍企業、ニムロッド・ホールディングス
北沢志保
世界中にビジネスを展開するコングロマリット
北沢志保
《塔》を開発、建造し、その運営を担う、正に世界の命運を掌握する企業
北沢志保
《塔》が生み出す食糧、エネルギーの全てを管理している
北沢志保
しかし、十四年前に突如現れた、塔を襲撃するテロリストの出現に伴い、
北沢志保
《塔》の技術者、研究員、作業員、全ての人員が避難し、無人となった施設群は
北沢志保
研究施設は完全に休止、プラントが辛うじてオートメーション機能によって細々と稼働し
北沢志保
資材・生産物の搬入出を、宇宙空間から細々と行い
北沢志保
本来なら全人類の八割の食糧・エネルギーをカバーできる筈のそれは
北沢志保
僅か二割程しか得られず、かくして莫大な投資と長い年月を費やした《塔》は
北沢志保
ある者には存在を疑問視され、またある者には存在を神格化され
北沢志保
北氷洋上に、ただ静かに座する。
横山奈緒
「まあ《ニムロデ》の連中も、このまま《塔》が占拠されるとかなったら、面子丸潰れやしな」
横山奈緒
「もしテロリスト共が自分達と関係あらへん言うなら、金だけ出して黙っとる訳無いやろな」
福田のり子
「国連軍の作戦に口出ししてくるって事かな?」
北沢志保
(テルテルテル)「着信?……真さんから……はい、北沢です」
北沢志保
「ええ、検問で足留めされてて……え?もうすぐ迎えが到着する?」
福田のり子
「迎えって………ひょっとして、あれ?」
北沢志保
ローターの轟音が近付いて来る。
横山奈緒
「ホンマにヘリで迎えに来たんか」
北沢志保
直上に停止し、ホバリングするヘリからラダーが降りてくる。昇降口から乗り出して
北沢志保
手を振る真さんの声は、ローター音にかき消され、私達には届かなかった。

(台詞数: 50)